[ テーマ: 役員変更手続き ]
2016年2月17日10:28:00
取締役の任期は現在も原則2年以内です(会社法第332条第1項)。
ただし、公開会社ではない会社の場合には、定款で任期を最長10年まで伸ばすことができるとされています(同条第2項)。
会社法施行前から存在する株式会社の取締役の任期は2年(以内)ですが、会社法が施行されたからといって、自動的に10年に伸長するということはありません。
10年にするには、株主総会の決議を経て定款をそのように変更する必要がありますのでご注意ください。
また、取締役の任期が満了した場合の手続の要否についても、意外と知られていないようです。
取締役の任期が満了したとしても、そのメンバーに変更がなければ、何もしなくてもよい(=自動更新される)と思っている経営者さんが多いことに驚かされます。
任期が満了した場合には、(取締役のメンバーが変わる・変わらないにかかわらず、)株主総会でもう一度選任決議をしなければなりません。
その結果、変わらないのであれば「重任」、変わるのであればそれぞれ「退任」「就任」の登記を申請しなければならないのです。
役員変更登記手続のご依頼をいただいた場合には、必ず、「任期」が何年になっているのかを聞くのですが、任期も登記されているものと勘違いされている方が少なくないようです。
登記簿に記載されている事項は、役員(取締役)については、取締役の氏名、就任日、代表取締役の住所、氏名、就任日で、その「任期」までは登記されているわけではありません。
「任期」は登記されておらず、会社が保管する「定款」に規定があるだけですから、その会社にしかわからないことなのです。
中には、すでに任期が満了している方もいて、その点を指摘すると、「任期が満了しても法務局から何の通知もなかった」とおっしゃる方もいるのですが、法務局ではそれぞれの会社の取締役の任期まで知る方法がありませんから、通知することもできません。
任期については、自社で管理するほかないのです。
ところで、取締役の任期は「その会社にしかわからないこと」なので、時々、あっと驚く登記を目にすることがあります。
先日も、役員変更登記のご依頼を受け、登記簿謄本を見ていたら、「すでに2年の任期が満了しているのに、3年目に辞任の登記がされている」ことが判明し、慌てたこともありました(任期が満了した後に辞任することはできません)。
辞任の登記申請を受けた法務局は、(その会社の取締役の任期を知る由もなく)提出された書類だけから判断するので、書類中、任期について触れていなければ任期中に起きた事項として取扱うため、このような事件も発生します。
これについては、管轄法務局に相談し、何とかなりましたが。
今一度、取締役の任期が何年になっているのか、現在の取締役の任期が満了していないか、を確認し、任期は現在のままでよいのか、を検討してみてはいかがでしょうか。
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