[ テーマ: 株式会社 定款変更 ]
2018年2月21日12:22:00
先日、株式会社の定款変更登記のご依頼をいただきました。
具体的には、定款の「商号」と「目的」を変更する登記手続きの依頼です。
新たに飲食業を始めるので、現在の飲食業からかけ離れた会社名をそれっぽく変更し、目的に「飲食店の経営」を加えたいというお話でした。
飲食業を始めるにあたり、金融機関から融資を受ける計画だということで、融資のスケジュールに合わせて手続きをすすめることになったのですが―
その準備をすすめていくうち、依頼人からこんなメールをいただきました。
「融資先の要望で、まず定款変更をし、融資を実行した後に、商号を変更して欲しい」
メールを見たとき、株主総会で「商号」「目的」を変更する定款変更決議をし、融資を実行した後に、両方の変更登記を申請するのかと思いました。
商号、目的の変更は、株主総会の決議がされた時点で変更の効力が生じ、その登記は後付でそこから2週間以内にするというルールがありますので、2週間以内に融資が実行され、すぐに登記を申請すれば特に問題はない(仮に2週間過ぎても登記申請は受け付けてもらえます)のですが…
ですが、メールを読み返すと、「定款変更をし…商号を変更…」と書かれており、目的変更の登記は??という疑問が生まれたため、メールで返信するのではなく、直接、電話でお伝えすることにしました。
すると―
「定款変更」の「定款」とは「目的」のことを指し、目的変更登記を先にして、融資実行後に商号変更登記をして欲しい、という意味だったことがわかりました。
すで融資の話は進んでいるため、商号変更によって関連する書類などを全て新商号のものに差し替える必要があるから、それを避けるために目的変更だけを先にしたいという事情があるそうです。
「目的変更」=「定款変更」と勘違いさている方が多いのは、「司法書士あるある」で、ご相談を受ける際、時々、お互いが混乱するのですが(笑)、
「定款」には、①商号、②目的、③本店の所在地、④株式に関すること、⑤株主総会に関すること、⑥役員に関すること、⑦会社の計算に関すること…などが盛り込まれており、
定款=目的 ではなく 定款>目的 ということで、今回は、定款の中の、①商号と②目的を変更する手続きをすることになります。
それはそうと、
目的変更を先にして、後から商号変更の登記手続きをすることは可能ではあるのですが(同時でも別々でも登記申請は可能)、1つ大きな問題があります。
それは、登記費用(とくに登録免許税)の問題です。
変更登記を申請するには、登録免許税(印紙代)がかかるのですが、
商号変更 3万円
目的変更 3万円
と、それぞれ3万円かかるのですが、商号と目的を同時に変更する登記を申請した場合には、6万円ではなく、3万円納めればよいとされています。
これを別個に申請すると、商号変更の3万円と目的変更の3万円の計6万円を納めなければなりません。
つまり、登記申請が同時か別かで3万円もの差が生じるということです。
もちろん、司法書士報酬も変わります。
以上の点をご相談者様にご説明したところ、その差は大きいということで、融資先に相談してみるということになりました。
手間(書類の差し替え)をとるか、費用(登録免許税3万円他)をとるか、悩ましい問題です。
商号、目的など定款変更登記に関するお問い合わせは―
下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
作成 2018年2月21日
修正 2021年1月3日
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