[ テーマ: 相続登記手続き ]
2020年10月19日17:12:00
数年前にお父さまが亡くなり、不動産の相続登記のご依頼をいただいた依頼人から、今度はお母さまが亡くなられたという連絡をいただきました。
当時、お母さま名義にした不動産の相続登記をまた依頼したいというお話しでした。
相続関係は、相続人である「子」が3名、遺産分割協議は成立して協議書も作成済みだということで、遺産分割協議の内容を伺うと―
税理士に相談した結果、3人の子がそれぞれ3分の1の割合で相続することになったという。
さらに、相続人3人の共有名義にしたのち、すぐに売却の意向なのだと…
売却先は見つかっておらず、すべてはこれからだということでした。
不動産を共有名義にすると、共有者間でいろいろやっかいなことが起きそうなのであまりオススメしないのですが、税理士が関与し全員の合意の下で、しかも早々に売却することに全員合意しているということでその内容で登記をすすめることになりました。
さっそく、依頼人の1人とお会いし…
相続人が子3名で、3分の1ずつ相続するということは、遺産分割協議でそうしたと言っても、「法定相続」と同じなので登記手続き上は遺産分割協議書はあってもなくても良い気がするのですが捺印済みの遺産分割協議書はあるし、印鑑証明書もそろっているため、お預かりしました。
委任状に押印をいただき、他の2名とお会いしてそのお二人からも委任状をいただきたい旨お伝えすると…
1名は他県に、もう1名は現在、印鑑証明書記載の住所ではなく老人施設にいらっしゃるという。
老人施設はコロナ禍の影響でしばらく面会が許されなかったのですが、10月に入り、ようやく月に一度の面会が許されるようになったということで、残りのお二人と面会できる日程を決めていただくことになりました。
それが昨日、日曜日でした。
まずは1名の方から委任状をいただき、その足でもう1名の相続人とお会いするため、老人施設へ。
入口で手をアルコール消毒し、検温するのですが…
体温が35.2度しかなく、なんか不審そうな感じで見られてしまいました(笑)
以前にも体温が低すぎて、体温計が故障しているのではないかと機械を交換され、さらに別の職員の体温を計測して機械が故障していないことを確認した上で再度計測されたこともあり、事情を知るまでのこちらの不安感といったら…おかげで、こういう場面にはなれましたけど。
最後の相続人からも委任状をいただくことができ、あとは不足している証明書を取得いただき次第、登記を申請する予定です。
ご相談、ご質問については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
|この記事のURL│
[ テーマ: 相続登記手続き ]
2020年6月10日17:59:00
今日、読んだ本は、「恐山: 死者のいる場所」。
恐山は、青森県下北半島にある霊場で、唯一、「日本三大霊場」「日本三大霊地」「日本三大霊山」のいずれにもランクインしています。
この本は、幼い頃から「死とは何か」というテーマを抱えながら、大学に進学し、社会人になった後、永平寺(福井県)に出家し、約20年の修行生活を経て、霊場・恐山を管理する菩提寺の院代(住職代理)をされているお坊さん、南直哉氏が、「人は死んだらどこへゆくか」について書いたもの。
私自身、恐山へは一度だけ、20年以上も前にバイク・ツーリングで本州の北端に行った際、寄り道したことがあります。
ねぷた祭りの時期だったのですが、殺伐とした風景、カラフルな風車が回っている異様な光景にゾッとしたことを覚えています。
ただ、イタコがいると期待していたのに、一人もいないし、そういう場所も見つからない上、教えてくれる人もいなかったのが残念で、何となく散策して帰ったのですが―
この本によると、イタコというのは恐山が管理しているわけではなく、個人業者で縁日の出店のように、出張営業に来ているだけなのだそう。
恐山側は、イタコを管理しているわけではなく、歴史的な経緯もあるため、イタコが集まって、死者の魂を呼ぶ口寄せという降霊術を行うのを拒まないらしい。
平均年齢は80歳を超えており、弟子入りする者はいても続かないため、後継者は少なく、絶滅危惧種だそうで、この本が書かれた時には、40代の若いイタコは2人しかいないという状態なのだとか。
死者の魂を呼ぶ「口寄せ」をするのが仕事のようで、多くは依頼人の先祖の魂を呼び寄せるのですが、中には、外国人だったり、歴史上の人物の魂等も呼び寄せるというから驚きです。
ちなみに、イタコの訛りがひどいため、外国人の場合には、外国語-日本語-下北弁と最低2人の通訳が必要になるそうです。
「人は死んだらどこへゆく」のこの本の本筋とはズレますが、司法書士という仕事柄、とても興味があるエピソードが書かれていたので紹介します。
ある家庭で―
お父さんが亡くなり、子どもが5人いたのですが、お父さんの遺産の分配について、兄弟間の決着がつかないため、死んだ父親をイタコに口寄せで呼び出してもらい解決しようとしたことがあったのだそう。
被相続人:父、相続人:子が5名という事例です(配偶者の母は既に死亡)。
イタコもイヤだと断ればいいのに、プロ根性からか引き受けたらしい。
口寄せして出てきた父の言葉は、その依頼主(5人の子のうちの1人)のお気に召さなかったようで、その苦情が恐山のほうに向けられたというエピソードでした。
司法書士から見ると、笑うしかない話ですが、当事者は本気だったのでしょう。
仮に相続人だけではなく、証人として(?)公証人を連れて来て、宣誓供述書的なヤツや公正証書を作ってもムリな話ですから。
(イタコの言うことが納得できるもので、相続人全員がそれに合意して遺産分割協議が成立してしまったというのなら、話は別かもしれません)
ところで、法律で法定相続分は定められていますが、相続人全員の話し合いがまとまれば、法定相続分とは無関係に、自由に遺産を分割することができます。
その話し合いを「遺産分割協議」といい、遺産分割協議書を作成して不動産の相続登記を申請することになります。
遺産分割協議がまとまらない場合には、家庭裁判所に遺産分割の調停または審判の申し立てをして、裁判所の力を借りて解決に導いてもらうことができます。
まとまらないからといって、恐山に行き、イタコに、被相続人を呼び出して口寄せしてもらい…なんて考えは起こさないようにしましょう。
てなことを考えてながら、この本を読みすすめましたが、正直、「死」を考えるより、死ぬ前に最低でもあと一回、バイクで恐山に行きたいな、と思ったり。
(青森関連記事)
不動産の相続登記手続きについて、ご相談、ご質問については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
|この記事のURL│
[ テーマ: 相続登記手続き ]
2020年5月7日13:10:00
不動産の相続登記のご依頼をいただきました。
父、母、長男、長女の4人家族で、父名義の不動産(土地、家屋)があったのですが、父が死亡し、その後に母が死亡、さらに配偶者・子がいない長男が死亡したケース
最終的には、長女が相続するのはわかると思いますが、そこにいくまでがなかなか大変です。
① 父が死亡し、母、長男、長女が相続
② 母が死亡し、長男、長女が相続
③ 長男が死亡し、長女が相続
ご依頼をいただいたのは、長女からで、聞くと、誰も遺言を残しておらず、過去1度も遺産分割協議をしたことがないという。
ところで、平成30年の税制改正でこんなことが決まりました。
<相続により土地を取得した方が相続登記をしないで死亡した場合の登録免許税の免税措置>
個人が相続(相続人に対する遺贈も含みます。)により土地の所有権を取得した場合において,当該個人が当該相続による当該土地の所有権の移転の登記を受ける前に死亡したときは,平成30年4月1日から令和3年(2021年)3月31日までの間に当該個人を当該土地の所有権の登記名義人とするために受ける登記については,登録免許税を課さないこととされました。
http://houmukyoku.moj.go.jp/homu/page7_000017.html
今回のケースに該当します。
父の相続により、母、長男、長女が土地の所有権の登記を受ける前に、母、長男が死亡したため、母、長男について、土地にかかる相続免許税は課せられないことになります。
なお、注意しなければならないのは、
(1)登録免許税が免税となるのは、土地のみであること
家屋は対象外ですから、課税されます。
(2)平成30年4月1日から令和3年(2021年)3月31日まで、と期間が限定されていること
(3)この登記を申請するには、申請書の登録免許税額を記載するところに「租税特別措置法第84条の2の3第1項により非課税」と記載しなければなりません。
土地と家屋、一部非課税に該当しない相続人がいる場合には実情に合わせて少し手を加えて記載する必要があります。
今回、このような相続登記手続きのご依頼をいただいたのは初めてで、焦りましたが、良い経験になりました。
この相続登記、先日、無事に完了しました。
ご相談、ご質問については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
|この記事のURL│