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(このページは、2021年7月20日に更新されました)
取締役の任期 最長10年 メリットとデメリット(リスク)
取締役が自分だけ又は信頼できる人以外は、任期は短い方がいい。
取締役の任期は10年まで延ばすことができます。
取締役の任期は原則2年ですが、株式譲渡制限会社にすれば、定款で取締役の任期を最長10年まで(10年以内であれば、1年でも5年でも9年でもOK)延ばすことができます。
2年から10年に延びたことにより、取締役の重任(更新のようなもの)の登記の手間や登記費用を抑えることができるというメリットがあります。
とくに、オーナー企業(株主=取締役)のような閉鎖的な会社では、役員が変わることはまれですし、役員に変更がなくても重任登記をしなければならず、煩雑ですから、10年など長い期間を設定するメリットはあります。
また、選任された取締役側から見ると、任期が長いため、長期的な視点で経営戦略を構築、実行するなどして、業績を上げることが可能となります。
取締役の任期を10年にした場合のリスク
前述のように、取締役の任期を10年にすると、メリットがある反面、デメリット(リスク)もあります。
取締役は、従業員と違って「試用期間」が認められていませんから、任期を決めて任用した場合には、任期いっぱい「取締役」を委任しなければなりません。
(定款で任期を10年と規定している場合には、10年の委任契約をするということです。)
任期の途中で取締役を解任(クビ)する場合には―
選任した取締役は必ずしも期待に応えてくれる人物であるとは限りません。経営能力に欠けることがわかれば、(任期の途中でも)解任することもできます。
解任自体は株主総会の決議(定款の規定にもよりますが、通常は普通決議)ですることができるのですが、問題はその後。
解任後、その取締役が会社に対して、解任には合理性がなく、解任決議を無効だと訴えたり、解任によって生じた損害を賠償するよう請求してくる可能性があるのです。
つまり、10年間という任期が満了するまでの間に得られたはずの役員報酬(の残り)を支払え、ということです。
もちろん、解任した取締役に明らかな落ち度があれば、損害賠償請求はしてこないでしょうし、万が一、してこられても会社としては対抗できるのですが、正当な理由がなく解任する場合に面倒なことが予想されます(ちなみに、「解任」は正当な理由がなくてもすることができます)。
これに対して、2年間とするケースのように任期が短い場合には、最悪、任期満了まで待って(解任ではなく)退任して会社を去ってもらうことができます。
取締役がこれから先も自分1人だという場合、もしくは身内や十分に信頼できる人を取締役として迎え入れる場合でなければ、10年より任期を短くしておいたほうがいいかもしれません。
なお、もう一つのリスクとして、10年にすると長すぎて任期を忘れてしまうという点を挙げておきます。
また、10年の間に消息不明になってしまう役員も出てくるかもしれません。
役員の任期満了による登記手続きを忘れた場合には、数万円のペナルティ(過料)に課せられることになります。
任期満了後、役員変更登記をせず3年経過。登記を申請して数か月後に
役員の任期が満了して●年ほど経過し登記を申請したら過料の通知
さらに、最後の登記から12年経過すると、「株式会社のみなし解散」といって、法務局が職権で会社を解散させてしまう制度がありますので、ご注意ください。
なお、登記費用はかかってしまいますが、役員の改選時期を忘れないようにするため、任期を1年として(監査役は最短4年)毎年の定時株主総会で改選するという方法もあります。
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