[ テーマ: 役員変更手続き ]
2019年9月19日10:17:00
半年ほど前に取締役Aが辞任し、後任者としてBが就任した株式会社から、定款の変更登記を行いたい旨のご相談をいただきました。
その会社は、もともとは、Aが1人で出資をして設立し、Aが取締役になっていた会社でした。
定款変更をするには、株主総会を開催して決議し、その記録(株主総会議事録)を作成して(登記申請書その他の書類とともに)法務局に提出します。
また、株主総会議事録には、「株主リスト」といって株主の住所、氏名、持株数等を記載したものも添付することになっています。
平成28年10月1日より、株式会社の登記申請には株主リストが必要になることも
株主総会議事録や株主リストを作成するため、ご相談いただいた会社から、必要な情報をいただく際、一つ問題が発生しました。
株主が誰かという問題なのですが…
株主の住所、氏名、持株数について問い合わせたところ、半年ほど前に取締役Aが辞任したので、現在は取締役Bが株主だとのことでした。
もしかして、「株主=取締役」と勘違いしているのでは?と心配になり、念のため、
「Aが取締役を辞任する際、同時に所有していた株式はどうされたのですか?売却されたのでしょうか、それとも無償で譲渡されたのでしょうか?」
と尋ねてみました。
すると、「とくにそのような手続きはしていない、取締役Aは辞任したから、現在の株主はBだ」という回答で…あ、やっぱり、と。
取締役を辞任すると、自動的に株主ではなくなるとお考えの方が多いようですが、株式会社は、株主と取締役は全く別のものです。
今回のケースでは、Aが出資して(株主)、さらに取締役になっていたので、たまたま株主と取締役が一致していただけであって、常に株主と取締役が一致しているとは限らないのです。
Xが出資して、Yが取締役になるケースだって考えられます。
「株式会社は所有(株主)と経営(役員)が分離している」とよく言われますが、それはそういう意味で、出資と経営が一致している合同会社とは異なる点でもあります。
ということで、今回の定款変更をするための株主総会を開催する前に、株式をBへ譲渡することになり、AとBとの間で株式譲渡契約書を取り交わし…手続きをすすめることになりました。
(注 : 定款変更を決定するのは株主であって、取締役ではありません)
なお、株式の譲渡方法については定款に次のように規定されていますし、登記もされています。
「当会社の株式を譲渡により取得するには、●●(会社により異なります)の承認を受けなければならない」
一部上場企業などをイメージしてもらえるとわかりやすいと思うのですが、1人株主1人役員の個人経営に近い株式会社の場合はわかりにくいかもしれませんね。
電話によるご相談・お問い合わせ・お見積の依頼(無料)は、
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
│この記事のURL|