[ テーマ: 本店移転登記 ]
2026年9月8日12:02:00
会社の所在地を引っ越すことになった場合、まず思いつくのが「本店移転登記」ではないでしょうか。
本店を移転した場合には、会社の登記簿に記載されている本店所在地も変更する必要があります。
ただ、会社の引っ越しで必要になる手続きは、登記だけではありません。
税務署、都税事務所、日本年金機構、労働基準監督署、ハローワークなど、会社の状況によっては、いくつもの行政機関への届出が必要になります(自動的に全て変更されるわけではありません)。
さらに、郵便局への転居届や、銀行、取引先、ホームページなどの住所変更もあります。
今回は、当事務所へのご依頼が多い東京都、特に23区内に本店を置く会社を念頭に、「会社を引っ越したら、登記以外に何を確認すればいいのか」という点を中心に整理してみます。
なお、税務、社会保険、労働保険、許認可などについては、それぞれ専門的な判断が必要になります。
この記事では、本店移転に伴って一般的に確認しておきたい事項を簡単にまとめていますので、具体的な手続きについては、顧問の税理士さん、社会保険労務士さん、行政書士さん、または各行政機関にご確認ください。
会社の本店所在地は、登記事項です。
そのため、本店を移転した場合には、本店移転の登記をする必要があります。
原則として、本店を移転した日から2週間以内に登記を申請します。
なお、移転先が現在の法務局と同じ管轄なのか、別の管轄になるのかによって、手続きの方法や登録免許税などの登記費用が変わってきます。
また、定款に記載している本店所在地の定め方によっては、定款の変更が必要になることもあります。
本店移転登記については、こちらの記事で詳しく書いています。
本店移転登記をすれば、登記簿上の本店所在地は新しい住所になります。
では、それで会社の引っ越しが全部終わったのかというと、そういうわけではありません。
登記をしただけで、税務署や都税事務所、日本年金機構などへの必要な手続きまで、すべて完了するわけではないからです。
このあたりは、「会社の引っ越し=本店移転登記」と考えていると、うっかり忘れてしまうことがあります。
では、どんなところを確認すればよいのでしょうか。
本店移転に伴って納税地が異動する場合などには、国税庁の「異動届出書」による届出が必要になります。
顧問の税理士さんがいる会社であれば、本店移転の際に、税務関係の手続きについて確認してもらうのがよいでしょう。
なお、現在の国税庁の案内では、「異動届出書」の添付書類は「なし」とされています。
以前は、登記事項証明書(登記簿謄本)を添付することがありましたが、現在はその必要はありません。
東京都23区内に本店を置いている会社の場合、地方税については都税事務所への届出も確認する必要があります。
東京都主税局では、法人の所在地などに異動があった場合、「異動届出書」を提出することとしています。
東京都内で本店を移転する場合は、異動前と異動後の両方の都税事務所に届出をする必要があるわけではなく、いずれか一方の都税事務所へ提出すればよいとされています。
また、令和8年4月1日から、東京都への法人の異動届出書について、登記事項証明書(登記簿謄本)の添付が不要となっています。
このあたりも、以前の手続きとは変わっています。
東京都23区内で本店を移転する場合、「区役所にも何か届け出るのでは?」と思われるかもしれません。
この点については、法人住民税について、区役所への届出は必要ありません。
東京都23区では、市町村民税に相当する部分も含めて、法人都民税として東京都が課税・徴収する仕組みになっているためです。
例えば、新宿区から渋谷区へ本店を移転したとしても、法人住民税について新宿区役所と渋谷区役所にそれぞれ届出をする、ということにはなりません。
東京都内でも23区の外になると話が変わります。
23区外の市町村に本店を置く会社の場合、東京都への地方税関係の手続きに加えて、法人市町村民税について市役所などへの届出も必要になります。
東京都内で考えると、23区内と23区外では、この点が大きく違います。
23区内から23区外へ本店を移転する場合などは、特に注意しておきたいところです。
東京都から他の都道府県へ本店を移転する場合は、移転先の都道府県や市町村についても地方税関係の手続きを確認する必要があります。
このあたりは自治体によって届出の方法などが違うこともありますので、移転先の自治体の案内を確認しておきましょう。
健康保険や厚生年金に加入している会社は、社会保険関係の手続きもあります。
会社の所在地が変わった場合には、日本年金機構への届出が必要になることがあります。
特に、本店移転によって管轄する年金事務所が変わる場合には注意が必要です。
顧問の社会保険労務士さんがいる場合には、本店移転に伴う社会保険関係の手続きについて確認してもらうのがよいでしょう。
→ 日本年金機構「事業所の名称・所在地等に変更があったとき」
従業員がいる会社では、労働保険や雇用保険についても所在地変更の手続きがあります。
手続き先も、労働基準監督署やハローワークなど、手続きによって異なります。
こちらも会社の状況によって手続きが変わりますので、顧問の社会保険労務士さんがいる場合には、まず確認してもらうのがよいでしょう。
建設業、宅地建物取引業、運送業、介護・福祉事業など、許認可を受けて営業している会社は、所在地の変更によって許認可関係の手続きが必要になることがあります。
ここで注意したいのが、「会社の本店」と「実際に事業を行っている場所」が必ずしも同じではないということです。
本店だけを移転する場合と、営業所や事業所そのものを移転する場合とでは、必要になる手続きが違ってくることがあります。
許認可を受けている会社で、顧問の行政書士さんがいる場合には、まず行政書士さんに確認してもらうのがよいでしょう。
もちろん、顧問の行政書士さんがいない場合には、許認可を所管する行政機関に確認することになります。
会社の引っ越しと同じタイミングで、代表者個人の住所も変わることがあります。
この場合、会社の本店移転登記とは別に、代表取締役などの住所変更登記が必要になることがあります。
会社の本店だけでなく、役員の住所にも変更がないか、あわせて確認しておきましょう。
行政機関への届出ではありませんが、会社を引っ越したら、郵便局への転居届も忘れないようにしたいところです。
日本郵便では、転居届を提出すると、旧住所宛ての郵便物等を1年間、無料で新住所へ転送してもらえます。
ただし、これはあくまで転送サービスです。
銀行や取引先、官公庁、各種サービスなど、住所を登録しているところには、それぞれ住所変更の手続きをしておく必要があります。
また、転居届を提出してから転送が開始されるまでには3~7営業日程度かかるとされていますので、少し早めに手続きをしておくとよいでしょう。
会社の住所は、行政機関以外にもいろいろなところに登録されています。
例えば、
などです。
特に、請求書や領収書、名刺、封筒などは、古い住所のものが残っていると、移転後もしばらく古い住所を使ってしまうことがあります。
ホームページの会社概要なども、忘れずに変更してください。
会社の本店を移転すると、まず本店移転登記が必要になります。
ただ、実際にはそれだけではありません。
税務署や都税事務所、社会保険に加入していれば日本年金機構、従業員がいれば労働保険・雇用保険、許認可を受けていればその関係の手続きなど、会社によって確認するところはいろいろあります。
また、23区内であれば法人住民税について区役所への届出は必要ありませんが、23区外へ移転する場合には、市町村への法人市町村民税関係の手続きも出てきます。
そして、意外と忘れやすいのが、郵便局への転居届や、銀行、取引先、ホームページなどの住所変更です。
会社の引っ越しをするときは、「登記が終わったから、これで終わり」と考えず、登記以外にも住所変更が必要なところがないか、一度ご確認ください。
なお、この記事では、会社の本店移転に伴って一般的に考えられる手続きをざっくりご紹介しました。
税務、社会保険、労働保険、許認可などは、それぞれ専門の制度であり、会社の状況によって必要な手続きも変わります。
これらについては、当事務所では個別の判断できませんので、顧問の税理士さん、社会保険労務士さん、行政書士さんがいる場合には、そちらに確認してください。
顧問がない場合には、それぞれの手続きを担当する行政機関に確認しておくとよいでしょう。
当事務所でサポートできるのは、登記簿の変更(本店移転登記)のみとなりますのでご少将ください。
執筆:司法書士 西尾努
(※本記事は一般向けの解説です)
会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。
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03‐5876‐8291 または、
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[ テーマ: 本店移転登記 ]
2025年11月7日10:01:00
2025年4月の改正により、管轄の異なる本店移転(いわゆる「管轄外移転」)を行う際、これまで必要だった新所在地法務局への印鑑届出書の提出が不要になりました。
ただし印鑑カードの扱いは変わりません。
執筆:司法書士 西尾努
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[ テーマ: 本店移転登記 ]
2025年5月9日23:36:01
最近、よくいただくご相談のひとつに「代表者の住所を登記簿に載せたくない」というものがあります。
今回は、本店移転を予定しているお客様から代表者の住所非表示のご依頼をいただいたケースをもとに、代表取締役住所の非表示措置が適用される条件や、登記費用についてく解説します。
東京都の中央区内での本店移転を予定しています。
あわせて、代表取締役の住所を登記簿に表示させない措置もお願いしたいのですが、それぞれの費用を教えてください。
本店移転の場面では、法務局の管轄が変更される本店移転登記と併せて行う場合に限り、代表取締役の住所を登記簿に表示しない措置が可能です。
中央区の管轄法務局は「東京法務局(本局)」であり、同様に以下の区も同じ本局が管轄しています:
したがって、たとえ中央区 → 千代田区といった区をまたぐ移転であっても、同じ法務局の管轄内であるため、住所非表示の対象とはなりません。
この点については、法務省の公式サイトでも明確に記載されています。
一定の条件を満たすと、登記事項に代表者の住所を記載しないことができますが、本店移転の場面で、この制度を利用できるのは、次の2つの要件を満たす場合に限ります
したがって、「本店移転のついでに非表示措置をしたい」と考えても、法務局の管轄が変わらない限りは適用できないのでご注意ください。
今回は中央区内での移転であり、非表示措置の対象外となるため、通常の本店移転登記のみが対象です。
登録免許税 3万円
司法書士報酬 2.2万円(税込)
その他実費 → その他実費とは
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