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西尾 努2007年2月より(株式・合同)会社設立・役員変更・定款変更、相続登記等、登記業務を中心に行っています。

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合同会社で代表社員を複数にしたい場合の手続きと注意点

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2025年7月25日18:22:00

合同会社で代表社員を複数にしたい場合の手続きと注意点

事例紹介:新たに加入した社員を代表社員として追加したい

ある合同会社では、社員2名がともに業務執行社員で、そのうち1名が代表社員として登記されていました。

そこに新たな1名を社員として加入させ、同時に代表社員として登記したいというご相談をいただきました。

ただし、①定款では「代表社員は1名」と定められていたため、定款変更が必要となり、

②登記費用を抑えるため、資本金を増やさない方針だったため、新社員の加入は出資によるものではなく、既存社員からの持分譲渡で対応しました。

 

社員の加入方法:資本金を増やさずに加入するには?

新たに社員を加える場合、出資を受けて資本金を増やす方法が一般的ですが、資本金の増加により登録免許税(最低3万円)、増資に対する司法書士報酬が加算されます。

そのため、今回は持分譲渡により社員として加入する形を取りました。

持分譲渡による加入のメリット

  • 資本金が増えないため、登録免許税を抑えられる
  • 新たな出資を伴わないため、出資比率のコントロールがしやすい

注意点

  • 会社法上、持分の譲渡には会社の承認が必要です(定款の規定に従います)
  • 譲渡契約書は社内で適切に保管する必要があります

 

手続きの流れ

  1. 定款の確認(「代表社員は1名」の場合、変更が必要)
  2. 持分譲渡の実施と総社員の同意
  3. 新社員の社員就任
  4. 定款変更(代表社員を複数置けるように改定)
  5. 社員間で代表社員を選定(定款の代表社員選定の規定による)
  6. 登記申請(業務執行社員、代表社員追加)

 

代表社員を複数にするメリット・デメリット

メリット

  • 不在時にも代表権限を持つ社員が対応できる
  • 契約・営業・金融対応などを分担しやすい
  • 組織体制の信頼性を高める要素にもなる

デメリット

  • 社内での意思決定が煩雑になりやすい
  • 金融機関や取引先が混乱する可能性がある
  • 法人印の使用管理に明確なルールが必要になる

 

法人印(代表印)の扱いについて

合同会社では、代表社員ごとに法務局へ印鑑を別個に届け出ることが可能です。

そのため、代表社員が2名いる場合は、2本の異なる印鑑をそれぞれが登録することができます(どちらか一方のみでも問題はありません)。

同じ印影の印鑑を2人で使い回すことはできませんので、各代表社員が固有の印鑑を準備する必要があります。

印鑑届出の概要

  • 代表社員ごとに印鑑カードが発行され、印鑑証明書も個別に取得可能です
  • どの代表社員が押印したか明確にできるため、契約実務でも有用です

法人印を代表社員ごとに登録するメリット

  • 代表社員ごとの押印により、責任の所在や行為者が明確になる
  • 契約や金融手続の分担がしやすくなる
  • 代表社員がそれぞれ印鑑証明書を取得可能なため、柔軟な事務対応が可能

デメリット・注意点

  • 複数の印鑑が存在することで、管理体制が複雑になる可能性がある
  • 取引先や金融機関に説明が必要になる場合がある
  • 誤って他の代表社員の印鑑を使用しないようルール整備が必要

 

※登記上の順序に意味はなく、いずれの代表社員にも会社を代表する権限があります。

 

金融機関対応の注意点

代表社員を追加した後は、銀行など金融機関への届出も忘れずに行いましょう

登記が完了していても、金融機関側に反映されていなければ口座操作や契約に支障が出ることがあります。

 

届出に必要な書類(例)

  • 新しい履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  • 代表社員個人の印鑑証明書
  • 法人印届出書(変更がある場合)
  • 本人確認書類(運転免許証など)

金融機関によっては…

  • 代表権の優先順位を求められることがあります
  • 出金権限を一部代表者に限定するケースもあります

 

登記申請に必要な書類

  • 定款変更決議書(総社員の同意書)
  • 代表社員の選定書(総社員の同意書)
  • 持分譲渡契約書(登記上の添付は不要、社内保管)
  • 新代表社員の就任承諾書
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書(必要に応じて)

 

登記費用

①登録免許税、②司法書士報酬、③その他実費を合算したものをいただきます。

①登録免許税 1万円(資本金が1億円を超える場合は、3万円)

②司法書士報酬 1.1万円(税込)

なお、代表社員の選定方法について、互選等の規定がある場合には、登記申請に定款の添付が必要です。

定款がワードデータで保管されている場合には無料で修正しますが、そうではない場合、保管形態によって別途報酬をいただきます。

・ワードデータあり 無料
・ワードデータなし、紛失等 新たに作成するため、別途2.2万円(税込)

なお、ご自身で変更定款を作成していただくことも可能です(費用発生せず)。

③その他実費  こちらをご参照ください

 

 会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。

ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。

03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816までお気軽に。

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