[ テーマ: 登記全般 ]
2018年2月24日11:47:00
先日、ある会社から定款変更登記のご依頼をいただきました。
すぐにその会社を訪問し、株主総会等の日時、決議内容など、定款変更に必要な情報を聴取、持ち帰って作成した書類に後日押印の後、郵送で送っていただくよう依頼したところ、まもなくその書類が届きました。
開封すると…
えっ!!!
議事録その他の書類に押捺された印鑑の一部は赤色、残りは黒色。。。
前日、依頼人から、「送る書類はコピーをして、会社に保存しておいたほうが良いのか」というご質問があり、とりあえず原本は預かるので、念のためコピーして手続きが完了するまで保管しておいたほうがよい、と伝えたことを思い出し、
もしかすると、「コピー」の仕方がうまく伝わらなかったのかも、依頼人は平成生まれだしもしかすると昭和の感覚と違うのかもしれないし、と慌てて依頼人に連絡をとりました。
すると―
「会社の印鑑は黒色、個人の印鑑は赤色で押してあるだけで、送った書類はすべて原本」
だということでした。
なるほど・・・(汗)
実のところ、登記手続きで使用する書類について、「印鑑」に関する規定はいくつかありますが、押す印鑑の色の指定はありません。
すぐに、昔、司法書士を目指して通っていた資格予備校の講義で、現役の司法書士でもある講師が雑談の中でこのことに触れていたことを思い出しました。
「依頼があれば、緑色でも青色でも、ダメだという規定がないのだから、それで申請してみたい」
実際にやったことはないが、依頼があればしてみたい的な話をされていたと記憶しています。
まさか、それを自分がすることになろうとは…
とはいえ、いくらダメだという規定がないからといって、申請して手続きが中断したりすると時間がもったいないので、事前に管轄法務局に相談しました。
結局、「印鑑の色について制限はないものの、とくに「黒色の印鑑」はコピーかどうか見極めるのが困難だ…なので、これから押捺するのであれば避けて欲しいが、すでに押捺済みの書類があるのであれば、申請されても却下はできない。」という回答でした
が、印鑑は黒色で押されていてコピーのようだが、コピーではない旨、代理人司法書士が一筆書いて欲しいという。
紙の裏を見たり、ちょっと表面をこすったり、水で濡らしてみるなどして確認し、一筆加えることにしました。
今回のことで、書類に押印する印鑑は赤色(朱肉色)というのは、勝手に自分が常識だと思っているだけなのだということをガツンと思い知らされました。
印鑑は(品質のよい)朱肉を利用して押すということも一般的なことではないということも先日気づかされましたし…
印鑑は、欠けることなく鮮明に決められた位置に押すということも伝えなければ伝わらないことも気づかされました。
その他の失敗事例 登記の書類の押印時に起きるこんな失敗
これからは、「印鑑」が身近ではない若い経営者も多くなりますし、依頼人は日本人とは限りませんし、きちんと説明しなければならない時代になっているようです。
印鑑は、 シヤチハタ(浸透印)を使用せず、 付着したほこり、ゴミなどを取り除き、 品質の良い朱肉を使い、 赤やその他の色のスタンプ台は使用せず、 印影が欠けないように押し、 鮮明に押し、 定められた枠内にはみ出ないように押す。
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お願いしたいと思います。
でも…本音の部分で、大人相手に、こういうことを伝えるのは失礼に当たらないか、心配になります。
* ちなみに、後日、この登記は無事に完了しております、念の為。
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