プロフィール

西尾 努2007年2月より(株式・合同)会社設立・役員変更・定款変更、相続登記等、登記業務を中心に行っています。

≫ 詳細プロフィール

QRコード

【役員変更登記】2人の息子をそれぞれ代表取締役にしたいが

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2024年6月3日17:02:00

【事例】現在、代表取締役は80歳を超え、そろそろ引退して、息子にその地位を譲りたいと考えています。

息子は2人いて、それぞれ平等に代表取締役にしたいので、調べてみたところ、代表取締役は複数置けることがわかりましたが、社長は1名が一般的だという話でした。

それでも社長は複数置けるのでしょうか。

そもそも代表取締役と社長って同じものなのでしょうか。

 

代表取締役を2名置く

 

①代表取締役と社長その他の役職との関係

会社法には、会社の経営を担う重要な役職として「代表取締役」があります。

代表取締役は、会社を法的に代表する権限を持つ人物で、取締役会その他定款に定める方法によって選定されます。

それと別に、会社の運営にはさらに多くの役職があり…中でも、「社長」や「会長」は一般的ですが、これらは会社法上の正式な役職ではありません。

 

②代表取締役を複数置くことはできるか

会社法では、代表取締役の人数に上限はないため、会社は複数の代表取締役を設けることが可能です。

つまり、経営のトップに立つ人物を複数置くことができることになります。

実際、代表取締役を複数置いた企業の多くは、異なる役割を持たせるために以下のような役職名を使用しています。

代表取締役社長 … 日常の業務運営を直接指揮する立場

代表取締役会長 … 会社の方針や戦略を策定する立場

これらの役職名は、社内での役割分担を明確にするためのものであり、会社法上の規定ではありません。

あくまで企業の内部での呼称にすぎません。

社長や会長といった役職は、法的な定義がないため、それぞれの会社によってその役割は異なります。

 

 

③登記における注意点

代表取締役等、役員の変更を行う際には、役員変更登記が必要です。

その場合、登記されるのは「代表取締役」といった法的な役職に限られ、登記事項証明書(登記簿謄本)には、「代表取締役社長」や「代表取締役会長」といった具体的な役職名は登記されません。

 

④社長を複数置くデメリット

代表取締役は複数置くことができますが、一般的に社長は1名です。

複数置くことはできますが、社長を複数置くことは、会社運営においては一見、メリットが多そうですが、いくつかのデメリットも存在します。

例えば、

1. 権限の不明確化
複数の社長を置くことで、各社長の権限や責任範囲が不明確になることがあります。

2. コミュニケーションの課題
複数の社長が存在すると、情報の共有や意思決定のプロセスが複雑化します。

3. 組織内の混乱
従業員やその他の役員が、誰に報告すべきか、誰の指示に従うべきかが分からなくなることがあります。

4. コストの増加
複数の社長を置くことは、給与やその他の経費の増加を意味します。

特に、社長クラスの役職は高額な報酬を伴うことが多いため、経費が大幅に増える可能性があります。

5. 企業文化の統一性の欠如
複数の社長がそれぞれ異なるビジョンや価値観を持っている場合、企業文化が統一されず、組織全体の方向性がブレることがあります。

 

以上のことから、社長を複数置くことには一定のメリットがある一方で、デメリットも存在します。

会社の規模や業務内容に応じて、慎重に検討することが重要です。

 

 

⑤実際に、社長が2名の会社は存在するか

結論から言うと、社長が2名の会社は存在します。

しかし、これはあまり一般的ではなく、特定の状況や目的に応じて慎重に設定されることが多いです。

<実例と理由>

共同経営
共同創業者が対等な立場で会社を経営する場合、双方を社長として設定することがあります。

これにより、対等なパートナーシップを示すことができ、各社長がそれぞれの強みを活かして会社を運営できます。

異なる役割分担
企業の規模や業種によっては、社長を複数置くことで役割を分担し、効率的に経営を行うことができる場合があります。

例えば、一方の社長が技術面を担当し、もう一方の社長が営業やマーケティングを担当するケースです。

 

まとめると、社長が2名いる会社は存在し、特定の状況や目的に応じて有効な場合もあります。

ただし、その設置には慎重な計画と明確な役割分担が必要です。

企業の規模や業種、経営方針に応じて最適な役職構成を決定することが重要です。

 

なお、司法書士事務所への依頼は、代表取締役の退任、就任の登記手続きに限られます。

 

 代表取締役を複数置く場合の登記手続き

 代表取締役の選定について定款にはこのように規定されています

 

司法書士 西尾努

会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。

ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。

03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。

メールのお問い合わせはこちらから
問合わせ