[ テーマ: 役員変更手続き ]
2025年9月16日16:43:00
役員変更登記と議事録の言葉づかい ~ 「任期満了」と「再選」の正確な表現
会社の役員変更登記を申請す前提として、「株主総会議事録」の作成が必要になります。
法務局のホームページにもひな型が公開されていて、ご自身で作成することもできます。
ただし、そのまま書き写すだけではなく、言葉の使い方に注意しないと意味があいまいになったり、法務局から補正を求められることもあります。
法務局が示している定時株主総会議事録の文例には、次のような記載があります。
議案 取締役及び監査役の任期満了に伴う改選に関する件
議長は、取締役及び監査役の全員が本定時総会の終結と同時に任期満了し退任することになるので、その改選の必要がある旨を述べ、その選任方法を諮ったところ、出席株主中から議長の指名に一任したいとの発言があり、一同これを承認したので、議長は下記の者をそれぞれ指名し、これらの者につきその可否を諮ったところ、満場異議なくこれに賛成したので、下記のとおり再選重任(※新任者の場合は就任)することに可決確定した。
この文章で特に注目していただきたいのが、「任期満了」と「再選重任…する」という言葉です。
「任期を迎える」と言いたくなりますが、なぜわざわざ「任期満了」と書かれているのでしょうか?
新聞の言葉づかいを取り上げた書籍、『校閲記者の目/毎日新聞校閲グループ(毎日新聞出版)』には、こんな指摘があります。
「来春に任期を迎える、退任の予定」という表現があった場合、「満了」と入れなければならない。
議事録でも同じことが言えます。
「任期」とは「ある職務にいる期間」を意味します。
もし、「任期を迎える」としてしまうと、これから職務につく期間が始まる、つまり「任期開始」と誤解されるリスクがあります。
これを、「任期満了」とすれば、「期間の終わり」を明確に表現することができます。
だからこそ、法務局のひな型でも「任期満了」と表現しているのです。
もう一つ、注意が必要なのが「再選」という言葉の使い方です。
たとえば、「選挙で再選した」と「選挙で再選された」という表現、どちらが正しいのでしょうか?
新聞記事の動向を調べてみると、以前は「再選された」という他動詞的な表現が一般的でした。
しかし、1990年以降は「再選した」という自動詞的な表現が顕著に増えているそうです。
登記で使う議事録は、法律文書のため、通常、ぶれのない他動詞表現、つまり「〇〇を再選する」という形を使用しています。
この辺りは、どちらを使用しても補正ということにはならなさそうです。
これらを誤ると、法務局で補正を求められ、登記がスムーズに進まない場合もあります。
もちろん議事録はご自身で作成しても構いません。
ただし、ケースによっては役員数や定款の規定、議決の方法などに応じて調整が必要になるため、思ったよりも複雑な場合があります。
司法書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。
当事務所では、議事録の作成から登記申請まで一貫してサポートしています。
会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。
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