[ テーマ: 役員変更手続き ]
2022年8月19日12:14:00
ある日、こんな相談を受けました。
有限会社で、これまで2名の取締役(A、B)がいて、うち1名が代表取締役(A)だった。
その後、代表ではない取締役(B)が辞任したので、Aの肩書から「代表」がはずれ、登記上、「取締役」になった。
なので、1名取締役Cを追加して、改めてAを代表取締役にしたい。
手続きとしては、
株主総会を開催して、新たに取締役としてCを選任し、Cは就任を承諾して取締役となり、その後に定款に規定された代表取締役の選定方法に従って、Aを代表取締役に選定する。
ご相談をいただいた会社の定款を確認すると、代表取締役の選定方法は、「取締役の互選で選定する」となっていました。
必要書類は、
です。
基本的に情報をいただければ、印鑑証明書以外の書類はこちらで作成いたします。
その後、株主総会開催の準備をすすめているとのご連絡をいただき、その他細かい点について質問を受けたりしていた際、ひょんなことから会社の印鑑の話になりました。
その中で、「会社の印鑑が「代表取締役の印」となっているので、早々に代表取締役を選定しなければならない」
という発言があり…驚いて、
「あの…もしかして、会社の印鑑が「代表取締役」となっているから代表取締役を選定されようとしているのですか??」
と尋ねると、そうだという。
「代表取締役から「代表」が外れ、今は「取締役」なので、印鑑を「取締役の印」に変更するか、もう1人取締役を選べば代表取締役になれるでしょ。印鑑を変えたくないので…」
Aさん、とんでもない勘違いをされているようです。
これは意外と知られていないことかもしれませんが―
会社の印鑑は大きさだけ規定があり、掘られている文字は何でもよいとされています。
そのため、個人の名前が掘られた印鑑を法人印に登録されている方もいらっしゃいますし、極端な話、別の社名が掘られていても大きさの基準さえクリアしていればそれはそれで登録は可能です。
ただし、印鑑の登録上は問題がなくても、外部の方それを見た時、不自然な印象を受けるかもしれませんが。
ちなみに、法人印の大きさは、「1辺が1cm超3cm以内の正方形に収まるサイズ」とされています。
という話をAさんにしたところ…
それであれば、わざわざ新たに取締役Cを選任して、自分が代表取締役になる必要はない、現状で問題ない、ということで―
役員変更登記手続きのご依頼はキャンセルとなってしまいました。。。
ちなみに相談料などは一切いただいておりません。
<まとめ>
1.有限会社の代表取締役は、その後に「代表」が外れて単なる「取締役」になったとしても、「取締役の印」を作成して改印する必要はありません。
代表者である限り、(特別な手続きなしで)そのまま「代表取締役」の印鑑を使うことができます。
2.印鑑は大きさの条件を満たしていれば、印影は個人名であっても、英語であっても、社名変更する前の社名であっても、使用することは可能です。
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[ テーマ: 商業登記 ]
2022年8月10日15:13:00
更新日 2022年8月10日
作成日 2010年2月23日
某株式会社さんから、定款変更の登記のご依頼をいただきました。
さっそく、定款、登記簿謄本を拝見すると・・・
ええっ! そんな事業内容が?
驚きました。
目的として、1番から10番くらいまで普通に、「◎◎に関する事業」のように書かれていたのですが、11番目に・・・
「前各号に掲げる以外の事業」
正直、こんな登記、初めて見ました・・・。
たしかに、会社法の施行以降は、事業内容(目的)の書き方については、それほどうるさくはなくなりました。
それにしても、これはスゴイ。
結局、どんな事業でもできるということですから。
「これを登記できるか・できないか」と聞かれると、「できる」という答えになりますが…
また、関連してこんな珍しい登記もみかけました。
「前(各)号に附帯する一切の事業」という文言は事業目的(目的)の最終行に入れるのが普通ですが―
変更登記手続きをご依頼いただき、登記簿謄本を見ていたら…え??という登記がされていて、思わず二度見。
1.不動産の売買仲介及び管理
2.前号に附帯する一切の業務
3.損害保険代理業
なぜか、真ん中に「前号に附帯する一切の業務」があったのです。
一般の方にはわかりにくいことかもしれませんが、毎日、登記簿謄本を見ていると、ん?てなります。
これはこれで問題はないのですが、ここからわかることは…
昭和59年設立時の定款には、おそらく
1.不動産の~
2.前号に附帯する一切の業務
と定款に規定があり、後日、損害保険代理店も始めるということで、3つ目に「損害保険代理業」を司法書士に依頼せずに本人申請の形式で追加されたのではないかと思われます。
追加だと思われる理由は、設立にこの規定の仕方だと、定款を認証する公証人が黙っていないこと。
どうしても設立時は、定款の認証に公証人が関わるので、
1.不動産の~
2.損害保険代理業
3.前各号に附帯する一切の業務
とそれを一番最後にもってくるはずです。
また、本人申請だという理由は、司法書士が登記を代行する場合に、そのような並びにすることはあり得ないからです。
公証人同様、最後に持ってくるはず。
なお、その場合、「前号」を「前各号」にするのがポイントです。
「前号」だとその1つ前のものだけを指し、「前各号」だとその前にあるもの全部を指すことになります。
それにしても、法務局側も何の指摘することなく、その通りに登記をするんですね。。。
もうちょっと新設にアドバイスしてもよさそうなのに…(と言われても、株主総会で決議した事項ですから、簡単には修正できませんけど)。
定款(目的)の変更登記は、追加・変更・削除する件数に関係なく、
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[ テーマ: 登記全般 ]
2022年8月5日10:17:00
更新 2022年8月5日
作成 2020年9月16日
会社の登記事項に変更が生じた場合には、登記の変更をしなければなりません。
会社法には、登記しなければならない期間が定められており、原則として、登記事項に変更が生じたときは、本店の所在地においては2週間内、支店の所在地においては3週間内に変更登記をしなければならないとされています(会社法第915条第1項、第930条第3項等)。
会社の本店を移転(住所移転)した、事業内容(目的)を変更した、商号(社名)を変更した、取締役が辞任した、死亡した、代表取締役を変更する等のケースでは、変更登記を申請しなければいけないということは理解されているようで、事前に、または変更直後に登記手続きのご依頼をいただくことが多いのですが―
取締役や監査役等の重任( 重任とは)など、一見、登記事項に変更が生じていないように見えるケースでは、そもそも登記をしなければならないこと自体を知らずに放置しているケースがよくあります。
任期が満了し、株主総会で同じメンバーを選任して登記内容が従前と変わらない場合でも手続きを省略することはできず、「変更登記(重任の登記)」を申請しなければなりません。
なお、役員の任期が満了した場合には、自動車保険の契約満期の案内のように、法務局から会社に対して任期満了の連絡があると勘違いされている方も多いようですが、法務局からそのような連絡はありませんのでご注意ください。
「任期」は登記事項ではありませんし、そもそも法務局が会社ごとに「任期」が何年か把握しておらず、任期が何年かは、定款の規定を確認するほかありません。
登記に変更事項が生じてから2週間(支店では3週間)以内に登記を申請しない場合には、100万円以下の範囲内で過料の制裁が科される場合があります。
2週間を超えて登記を申請した場合でも、過料の金額は通知が来るまでわかりません。
1年あたり何万円等という都市伝説のような話を耳にすることもありますが、参考程度にインターネット等で検索したものと弊事務所で取り扱った1件を加えて10ケースをご紹介します(正確な情報かどうかまでは責任を負いません)。
また、ネット上から収集した情報のため、登記を忘れていた、選任を忘れていた、選任・登記を忘れていた等の区別ができておりません。
なお、過料は、会社ではなく、代表者個人へ通知され、会社の経費・損金とはなりません。
代表者個人が全額を負担することになります。
1.平成30年11月に、平成26年、29年の役員の重任登記を申請したケース
平成31年1月に過料3万円の過料決定が届く
役員変更登記の懈怠による過料3万円也! (ブログ「徒然なるままに」より)
2.登記が7年間の放置で過料9万円、1年放置で3万円
会社に「過料決定」が届いたのですが (江橋司法書士事務所のHPより)
3.役員変更登記を忘れ、4年の登記懈怠で過料3万円、1年で3万円
1年1万円? 10年で10万円ではなかった気がするので、1年1万円ではないかも、と。
登記懈怠による過料のお話 (ブログ「北千住の三児のパパ司法書士・行政書士独立開業奮闘記」より)
4.平成28年にすべき登記(役員の選任)を怠り、平成29年10月に申請したところ、7か月後に過料2万円の過料決定が届いた。
1年程度の懈怠で2万円~3万円ではないか。
裁判所から届く過料決定通知 (小川雅史司法書士事務所のHPより)
5.役員の改選、役員変更登記を5年間怠ったケース
登記を申請し、その約4か月後に過料3万円の過料決定が届く
株式会社の役員選任懈怠による過料 (さとう司法書士事務所のHPより)
6.公開会社(役員の任期は2年)で、10年間登記を怠ったケースでは過料約11万円の過料決定が届く
商業登記懈怠と過料 (ブログ「司法書士うみのブログ」)
7.平成22年6月の代表取締役の住所移転登記を令和1年10月に申請をしたケースでは、令和2年9月に過料3万円の過料決定が届いた(弊事務所で取り扱ったケース)
平成29年10月の代表取締役の住所移転登記、平成30年2月の役員の重任の登記を令和3年10月に申請したケースでは、過料5万円だというご連絡をいただきました(弊事務所で取り扱ったケース)。
8.NPOの役員変更を11年放置していたケースでは、過料3,000円
商業登記【NPO法人登記懈怠の過料】(みさき司法書士事務所のブログより)
9.死亡している代表取締役を5年も10年も放置していたケースでは(伝聞ですが)過料20万円 (YAHOO!知恵袋)
10.平成13年に株式会社を設立し、その後1度も登記をすることなく、平成27年頃になって役員変更登記を申請したケースでは、登記懈怠により過料26万円 (YAHOO!知恵袋)
余談ですが…
2022年8月4日の同業者らしきSNSでこんなことが書かれていましたのでご紹介します。
なお、その方のプロフィールを見ると司法書士と書かれていますが本名は出していないため正確なところはわかりません。
登記懈怠期間15年超え過料10万円超えの法人…(略)…「正当な異議理由ないけどマジ反省してますのでせめて減額してください」と異議理由書に書いたら過料処分自体取り消された
このようなことを依頼されても弊所ではお請けすることはできませんが、イチかバチかやってみる価値があるかもしれません。
ちなみに、過料は行政罰のため、前科はつきませんが、その影響で勲章の授与を受けられなかったという話もあるとかないとか。。。
変更が生じたら遅れないように変更登記を申請しましょう。
役員変更登記手続き・登記費用(司法書士報酬1万円<税別>)はこちら
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