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西尾 努2007年2月より(株式・合同)会社設立・役員変更・定款変更、相続登記等、登記業務を中心に行っています。

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2回分の役員変更をまとめて申請したら登録免許税はいくら?

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2025年7月29日11:47:36

2回分の役員変更をまとめて申請したら登録免許税はいくら?

~重任と新任を一緒に登記するメリットとは?分けた場合の違いは?~

 

「取締役を新しく1名追加したいのですが、登記をお願いできますか?」

先日、あるお客さまからこのようなご相談をいただきました。

お話をうかがい、会社の登記簿謄本(履歴事項全部証明書)と定款を確認させていただいたところ、思わぬ事実が判明しました。

 

■現任取締役の任期がすでに満了していた!

実は、現在の取締役全員の任期がすでに切れていました。

 定款の役員の任期に関する規定

「でも、取締役は変わっていないし、当時の議事録もちゃんとあるんですよ」

という。

しかし、会社法では任期満了による再選任も、変更登記が必要とされています。

たとえ取締役に変更がなくても、任期満了後に再度選任された場合には登記しなければならなりません。

このまま登記をせずに放置すると、過料(最大100万円)が科される可能性もあります。

 

■今回の登記内容:重任+新任

今回のケースでは、

  • すでに任期満了していた取締役全員の重任(再任)
  • 新たな取締役1名の新任

という2つの役員変更事項がありました。

 

✅ 登記を「1回でまとめて申請」した場合の登録免許税

今回のように、複数の役員変更を1通の申請書でまとめて申請する場合、登録免許税は以下のようになります。

📌 登録免許税は 1万円(資本金1億円以下の株式会社)

登記内容が2件分でも、申請が1件であれば登録免許税は1万円だけで済みます。

 

* なお、司法書士報酬は、2件分ですと2件分の書類を別個に作成することになりますので、それぞれに対して報酬をいただきます。

司法書士報酬 1件1.1万円(税込)で、今回のケースでは2件分として2.2万円いただきます。

 

⚠ では「2回に分けて登記」した場合は?

もし以下のように別々に申請すると…

  1. 任期満了による重任登記 → 登録免許税 1万円
  2. 後日、新任取締役の登記 → 登録免許税 1万円

📌 合計で2万円かかります。

つまり、まとめて申請すれば登録免許税が半額(1万円)で済むことになります。

 

✅ 登録免許税を抑えるなら「まとめて申請」が基本

商業登記の費用を抑えるうえで、申請のタイミングや方法は非常に重要です。

今回のように、

  • 過去の重任登記を忘れていた
  • 今回の新任登記と同時に申請できる状態である

というケースでは、1通でまとめて申請するのが断然お得です。

ただし、登記を怠っていた期間が長い場合は、過料のリスクもあるため、できるだけ早く対応しましょう。

 

役員変更登記は計画的に!

費用とリスクを見ながら、最適な申請方法を選ぶことが大切です。

  • 取締役の任期が切れていたら、たとえ再任でも登記が必要
  • 複数の役員変更がある場合は、1通の申請にまとめると登録免許税が節約できる
  • 2回に分けると、税金も倍になる可能性あり
  • 登記を怠ると、過料(最大100万円)のリスクも!

「うちも任期が切れているかも…」
「登記を忘れていたけど、今からでもまとめて申請できる?」
という方は、ぜひご相談ください。

 

 

会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。

ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。

03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816までお気軽に。

メールのお問い合わせはこちらから
問合わせ

 


株式会社に平取締役を1名追加する登記手続き

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2025年7月28日11:35:00

先日、代表ではない取締役を1名追加したいという依頼をいただきました。

取締役が2名の、つまり取締役会を設置していない株式会社に、新たに平取締役を1名追加したいとのご依頼です。

その登記手続きの流れや必要書類、注意点について実際の事例をもとに解説いたします。


 登記手続きの流れ

  1. 定款の確認(取締役人数の制限がないか)
  2. 株主総会の開催(取締役選任の決議)
  3. 新任取締役の就任承諾書の取得
  4. 法務局への登記申請

 事前に確認したポイント

✅ 定款の定め

定款の取締役の人数に関する規定(制限)は、「1名以上」となっており、定款の修正の必要はなく追加選任が可能でした。

✅ 選任方法

取締役の選任は株主総会にて普通決議で行うことが定款上、確認できました。

株主が1名の場合は書面決議等も可能ですが、今回は通常の株主総会開催でした。

 


 登記申請に必要な書類

書類内容・備考
株主総会議事録

取締役1名を選任した決議内容を記載
臨時でも定時でもどちらでも可

就任承諾書と印鑑証明書 新任取締役の記名押印
取締役会が設置されていないため実印を押印し、その証明書として印鑑証明書を添付する
株主リスト 所定様式に必要事項記入
委任状 司法書士への委任状

 登録免許税(費用)

取締役を1名追加する場合、登録免許税は1万円です(資本金1億円以下)。

資本金の額にかかわらず一律です。


 登記申請の期限

新任取締役を選任した日から2週間以内に登記申請を行う必要があります。

今回も期限内に問題なく申請を完了いたしました。


 登記申請先(管轄法務局)

本店所在地を管轄する法務局に申請します。

本店が新宿区内にあるため、東京法務局新宿出張所に申請を行いました。


 登記完了までの期間

申請先の法務局によって申請から完了までの期間が異なります。

詳細は、各法務局のホームページの「完了予定日」をご参照ください。

 東京都内の法務局であればここから確認できます

 

 

 

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合同会社で代表社員を複数にしたい場合の手続きと注意点

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2025年7月25日18:22:00

合同会社で代表社員を複数にしたい場合の手続きと注意点

事例紹介:新たに加入した社員を代表社員として追加したい

ある合同会社では、社員2名がともに業務執行社員で、そのうち1名が代表社員として登記されていました。

そこに新たな1名を社員として加入させ、同時に代表社員として登記したいというご相談をいただきました。

ただし、①定款では「代表社員は1名」と定められていたため、定款変更が必要となり、

②登記費用を抑えるため、資本金を増やさない方針だったため、新社員の加入は出資によるものではなく、既存社員からの持分譲渡で対応しました。

 

社員の加入方法:資本金を増やさずに加入するには?

新たに社員を加える場合、出資を受けて資本金を増やす方法が一般的ですが、資本金の増加により登録免許税(最低3万円)、増資に対する司法書士報酬が加算されます。

そのため、今回は持分譲渡により社員として加入する形を取りました。

持分譲渡による加入のメリット

  • 資本金が増えないため、登録免許税を抑えられる
  • 新たな出資を伴わないため、出資比率のコントロールがしやすい

注意点

  • 会社法上、持分の譲渡には会社の承認が必要です(定款の規定に従います)
  • 譲渡契約書は社内で適切に保管する必要があります

 

手続きの流れ

  1. 定款の確認(「代表社員は1名」の場合、変更が必要)
  2. 持分譲渡の実施と総社員の同意
  3. 新社員の社員就任
  4. 定款変更(代表社員を複数置けるように改定)
  5. 社員間で代表社員を選定(定款の代表社員選定の規定による)
  6. 登記申請(業務執行社員、代表社員追加)

 

代表社員を複数にするメリット・デメリット

メリット

  • 不在時にも代表権限を持つ社員が対応できる
  • 契約・営業・金融対応などを分担しやすい
  • 組織体制の信頼性を高める要素にもなる

デメリット

  • 社内での意思決定が煩雑になりやすい
  • 金融機関や取引先が混乱する可能性がある
  • 法人印の使用管理に明確なルールが必要になる

 

法人印(代表印)の扱いについて

合同会社では、代表社員ごとに法務局へ印鑑を別個に届け出ることが可能です。

そのため、代表社員が2名いる場合は、2本の異なる印鑑をそれぞれが登録することができます(どちらか一方のみでも問題はありません)。

同じ印影の印鑑を2人で使い回すことはできませんので、各代表社員が固有の印鑑を準備する必要があります。

印鑑届出の概要

  • 代表社員ごとに印鑑カードが発行され、印鑑証明書も個別に取得可能です
  • どの代表社員が押印したか明確にできるため、契約実務でも有用です

法人印を代表社員ごとに登録するメリット

  • 代表社員ごとの押印により、責任の所在や行為者が明確になる
  • 契約や金融手続の分担がしやすくなる
  • 代表社員がそれぞれ印鑑証明書を取得可能なため、柔軟な事務対応が可能

デメリット・注意点

  • 複数の印鑑が存在することで、管理体制が複雑になる可能性がある
  • 取引先や金融機関に説明が必要になる場合がある
  • 誤って他の代表社員の印鑑を使用しないようルール整備が必要

 

※登記上の順序に意味はなく、いずれの代表社員にも会社を代表する権限があります。

 

金融機関対応の注意点

代表社員を追加した後は、銀行など金融機関への届出も忘れずに行いましょう

登記が完了していても、金融機関側に反映されていなければ口座操作や契約に支障が出ることがあります。

 

届出に必要な書類(例)

  • 新しい履歴事項全部証明書(登記簿謄本)
  • 代表社員個人の印鑑証明書
  • 法人印届出書(変更がある場合)
  • 本人確認書類(運転免許証など)

金融機関によっては…

  • 代表権の優先順位を求められることがあります
  • 出金権限を一部代表者に限定するケースもあります

 

登記申請に必要な書類

  • 定款変更決議書(総社員の同意書)
  • 代表社員の選定書(総社員の同意書)
  • 持分譲渡契約書(登記上の添付は不要、社内保管)
  • 新代表社員の就任承諾書
  • 登記申請書
  • 印鑑届出書(必要に応じて)

 

登記費用

①登録免許税、②司法書士報酬、③その他実費を合算したものをいただきます。

①登録免許税 1万円(資本金が1億円を超える場合は、3万円)

②司法書士報酬 1.1万円(税込)

なお、代表社員の選定方法について、互選等の規定がある場合には、登記申請に定款の添付が必要です。

定款がワードデータで保管されている場合には無料で修正しますが、そうではない場合、保管形態によって別途報酬をいただきます。

・ワードデータあり 無料
・ワードデータなし、紛失等 新たに作成するため、別途2.2万円(税込)

なお、ご自身で変更定款を作成していただくことも可能です(費用発生せず)。

③その他実費  こちらをご参照ください

 

 会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。

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