[ テーマ: 役員変更手続き ]
2024年6月3日17:02:00
【事例】現在、代表取締役は80歳を超え、そろそろ引退して、息子にその地位を譲りたいと考えています。
息子は2人いて、それぞれ平等に代表取締役にしたいので、調べてみたところ、代表取締役は複数置けることがわかりましたが、社長は1名が一般的だという話でした。
それでも社長は複数置けるのでしょうか。
そもそも代表取締役と社長って同じものなのでしょうか。
①代表取締役と社長その他の役職との関係
会社法には、会社の経営を担う重要な役職として「代表取締役」があります。
代表取締役は、会社を法的に代表する権限を持つ人物で、取締役会その他定款に定める方法によって選定されます。
それと別に、会社の運営にはさらに多くの役職があり…中でも、「社長」や「会長」は一般的ですが、これらは会社法上の正式な役職ではありません。
②代表取締役を複数置くことはできるか
会社法では、代表取締役の人数に上限はないため、会社は複数の代表取締役を設けることが可能です。
つまり、経営のトップに立つ人物を複数置くことができることになります。
実際、代表取締役を複数置いた企業の多くは、異なる役割を持たせるために以下のような役職名を使用しています。
代表取締役社長 … 日常の業務運営を直接指揮する立場
代表取締役会長 … 会社の方針や戦略を策定する立場
これらの役職名は、社内での役割分担を明確にするためのものであり、会社法上の規定ではありません。
あくまで企業の内部での呼称にすぎません。
社長や会長といった役職は、法的な定義がないため、それぞれの会社によってその役割は異なります。
③登記における注意点
代表取締役等、役員の変更を行う際には、役員変更登記が必要です。
その場合、登記されるのは「代表取締役」といった法的な役職に限られ、登記事項証明書(登記簿謄本)には、「代表取締役社長」や「代表取締役会長」といった具体的な役職名は登記されません。
④社長を複数置くデメリット
代表取締役は複数置くことができますが、一般的に社長は1名です。
複数置くことはできますが、社長を複数置くことは、会社運営においては一見、メリットが多そうですが、いくつかのデメリットも存在します。
例えば、
1. 権限の不明確化
複数の社長を置くことで、各社長の権限や責任範囲が不明確になることがあります。
2. コミュニケーションの課題
複数の社長が存在すると、情報の共有や意思決定のプロセスが複雑化します。
3. 組織内の混乱
従業員やその他の役員が、誰に報告すべきか、誰の指示に従うべきかが分からなくなることがあります。
4. コストの増加
複数の社長を置くことは、給与やその他の経費の増加を意味します。
特に、社長クラスの役職は高額な報酬を伴うことが多いため、経費が大幅に増える可能性があります。
5. 企業文化の統一性の欠如
複数の社長がそれぞれ異なるビジョンや価値観を持っている場合、企業文化が統一されず、組織全体の方向性がブレることがあります。
以上のことから、社長を複数置くことには一定のメリットがある一方で、デメリットも存在します。
会社の規模や業務内容に応じて、慎重に検討することが重要です。
⑤実際に、社長が2名の会社は存在するか
結論から言うと、社長が2名の会社は存在します。
しかし、これはあまり一般的ではなく、特定の状況や目的に応じて慎重に設定されることが多いです。
<実例と理由>
共同経営
共同創業者が対等な立場で会社を経営する場合、双方を社長として設定することがあります。
これにより、対等なパートナーシップを示すことができ、各社長がそれぞれの強みを活かして会社を運営できます。
異なる役割分担
企業の規模や業種によっては、社長を複数置くことで役割を分担し、効率的に経営を行うことができる場合があります。
例えば、一方の社長が技術面を担当し、もう一方の社長が営業やマーケティングを担当するケースです。
まとめると、社長が2名いる会社は存在し、特定の状況や目的に応じて有効な場合もあります。
ただし、その設置には慎重な計画と明確な役割分担が必要です。
企業の規模や業種、経営方針に応じて最適な役職構成を決定することが重要です。
なお、司法書士事務所への依頼は、代表取締役の退任、就任の登記手続きに限られます。
司法書士 西尾努
会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。
ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
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[ テーマ: 役員変更手続き ]
2024年4月12日17:17:13
合同会社の「業務執行社員」を「社員」に変更したいというご依頼をいただきました。
資本金100万円の合同会社には、業務執行社員AとBの2人がいて、代表社員はA。
今般、業務執行社員のBを社員に変更したい。
社員AとBが、Bの業務執行権を喪失させ、それに伴い、定款の業務執行社員に関する規定を変更することについて同意し、書面にします(総社員の同意書)。
書類作成の資料として、登記簿謄本、定款
登記すべき事項に変更があった日(社員に変更するという総社員の同意の日)から2週間以内に管轄法務局に登記を申請しなければなりません。
その期間を超えても登記申請はできますが、遅れた日数、年数によって過料(罰金のようなもの)が発生することもあります。
登記費用は、(1)登録免許税、(2)司法書士報酬、(3)謄本代、送料等の実費を合算した金額ですが―
(1)登録免許税 1万円(資本金100万円)
(2)司法書士報酬 1.1万円(税込)
書類作成、登記申請、完了時の登記簿謄本取得費用まで含まれております。
(3)実費 実費の内訳
合計で、2.1万円+実費を事前に指定口座にお振込みいただきます。
なお、定款に具体的に業務執行社員の氏名を記載している場合には、定款の規定を変更しますが、同意書には変更箇所のみを記載します。
同意により変更された内容は、ご自身で定款に修正を加えてください(変更後に公証役場で認証手続きを受ける必要はありません。修正してそのまま保管してください)。
今回は、弊事務所で設立のサポートをさせていただいたため、定款の修正は無料でさせていただきます。
書類に押印をいただき、弊所で申請し(御社が法務局に出向くことはありません)てから、1週間程度で手続きが完了し、登記簿謄本を必要枚数取得して郵送いたします。
移転先が東京以外であっても、司法書士が法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。
ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
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[ テーマ: 役員変更手続き ]
2023年11月25日12:12:00
株式会社の代表取締役を変更したい、という登記のご依頼をいただきました。
株式会社(資本金100万円)には、A、B、Cの取締役がいて、代表取締役はA。
今回、代表取締役をAからBに変更したい。
はもちろんですが…Aは取締役として残るかどうかが問題です。
Aは取締役であり、代表取締役でもあるので、代表取締役を辞任したからっといって、取締役でなくなるわけではありません。
なので、依頼者さんには、「Aは取締役として残りますか?」と尋ねました。
そうしたところ、「取締役も辞任する」というお話でした。
なので、改めて、今回すべき登記は、
の2つです。
また、他にも、取締役の任期、代表取締役を選ぶ方法について定款にどのように規定されているか、なども尋ねました。
尋ねた理由は、役員の任期によっては、辞任の登記ができないおそれもありますし、また、定款の規定にしたがった選定方法で選ぶ必要があるからです。
なお、どちらも登記簿謄本に登記されておらず、定款を確認しなければわからない事項です。
今回は、任期は10年で現在任期中、代表取締役は取締役の互選で選定するというものでした。
登記すべき事項に変更があった日(取締役、代表取締役に変更があった)から2週間以内に新旧の管轄法務局に登記を申請しなければなりません。
その期間を超えても登記申請はできますが、遅れた日数、年数によって過料(罰金のようなもの)が発生することもあります。
登記費用は、(1)登録免許税、(2)司法書士報酬、(3)謄本代、送料等の実費を合算した金額ですが―
(1)登録免許税 1万円
(2)司法書士報酬 1.1万円(税込)
書類作成、登記申請、登記簿謄本取得まで含まれております。
(3)実費 実費の内訳
合計で、2.1万円+実費を事前に指定口座にお振込みいただきます。
なお、定款が古いもの(=現在まで変更事項が反映されていない等)であったり、定款を紛失した等の理由で定款がない場合には、別途、修正・作成する必要がありますのでご相談ください。
書類に押印をいただき、弊所で申請し(御社が法務局に出向くことはありません)てから、1週間程度で手続きが完了し、登記簿謄本を必要枚数取得して郵送いたします。
今回の登記手続きでは、代表取締役の辞任のタイミングによって、Cの印鑑証明書が必要になるケースもあります。
事前にご相談いただければ、最も書類が少なくできるようにアドバイスさせていただきます。
(参照)
本店住所が東京以外であっても、司法書士が法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。
ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
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