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西尾 努2007年2月より(株式・合同)会社設立・役員変更・定款変更、相続登記等、登記業務を中心に行っています。

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役員変更登記と議事録の言葉づかい~「任期満了」と「再選」

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2025年9月16日16:43:00

役員変更登記と議事録の言葉づかい ~ 「任期満了」と「再選」の正確な表現

役員変更登記と議事録の言葉づかい ~「任期満了」と「再選」の正確な表現

 

会社の役員変更登記を申請す前提として、「株主総会議事録」の作成が必要になります。

法務局のホームページにもひな型が公開されていて、ご自身で作成することもできます。

ただし、そのまま書き写すだけではなく、言葉の使い方に注意しないと意味があいまいになったり、法務局から補正を求められることもあります。

 

法務局のひな型に見る表現

 

法務局が示している定時株主総会議事録の文例には、次のような記載があります。

議案 取締役及び監査役の任期満了に伴う改選に関する件
議長は、取締役及び監査役の全員が本定時総会の終結と同時に任期満了し退任することになるので、その改選の必要がある旨を述べ、その選任方法を諮ったところ、出席株主中から議長の指名に一任したいとの発言があり、一同これを承認したので、議長は下記の者をそれぞれ指名し、これらの者につきその可否を諮ったところ、満場異議なくこれに賛成したので、下記のとおり再選重任(※新任者の場合は就任)することに可決確定した。

この文章で特に注目していただきたいのが、「任期満了」と「再選重任…する」という言葉です。

「任期を迎える」と言いたくなりますが、なぜわざわざ「任期満了」と書かれているのでしょうか?

 

「任期を迎える」では足りない

 

新聞の言葉づかいを取り上げた書籍、『校閲記者の目/毎日新聞校閲グループ(毎日新聞出版)』には、こんな指摘があります。

「来春に任期を迎える、退任の予定」という表現があった場合、「満了」と入れなければならない。

議事録でも同じことが言えます。

「任期」とは「ある職務にいる期間」を意味します。

もし、「任期を迎える」としてしまうと、これから職務につく期間が始まる、つまり「任期開始」と誤解されるリスクがあります。

これを、「任期満了」とすれば、「期間の終わり」を明確に表現することができます。

だからこそ、法務局のひな型でも「任期満了」と表現しているのです。

 

「再選した」vs「再選された」

 

もう一つ、注意が必要なのが「再選」という言葉の使い方です。

たとえば、「選挙で再選した」と「選挙で再選された」という表現、どちらが正しいのでしょうか?

新聞記事の動向を調べてみると、以前は「再選された」という他動詞的な表現が一般的でした。

しかし、1990年以降は「再選した」という自動詞的な表現が顕著に増えているそうです。

登記で使う議事録は、法律文書のため、通常、ぶれのない他動詞表現、つまり「〇〇を再選する」という形を使用しています。

この辺りは、どちらを使用しても補正ということにはならなさそうです。

 

ご自身で議事録を作成する場合の注意点

 

  • 「任期満了」と必ず書くこと
  • 「再選する」という表現を使うこと
  • 法務局のひな型を参考にしながら、会社の実情に合わせて修正すること

これらを誤ると、法務局で補正を求められ、登記がスムーズに進まない場合もあります。

 

司法書士に依頼するメリット

 

もちろん議事録はご自身で作成しても構いません。

ただし、ケースによっては役員数や定款の規定、議決の方法などに応じて調整が必要になるため、思ったよりも複雑な場合があります。

司法書士に依頼することで、次のようなメリットがあります。

  • 登記に適した議事録や就任承諾書を漏れなく作成できる
  • 法務局での補正リスクを減らせる
  • 役員変更登記をスムーズに完了できる

当事務所では、議事録の作成から登記申請まで一貫してサポートしています。

 

 会社の役員変更登記手続きについて

 

 

会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。

ご相談、ご依頼、見積もり書については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。

03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816までお気軽に。

メールのお問い合わせはこちらから
問合わせ

 


唯一の取締役が辞任!新任取締役を株主総会で選任する手続きと登記の流れ

[ テーマ: 役員変更手続き ]

2025年8月5日11:07:00

唯一の取締役が辞任!新任取締役を株主総会で選任する手続きと登記の流れ

【事例】先月、株式会社の設立登記のご依頼をいただいたAさんから、今度は次のようなご相談をいただきました。

「私一人が取締役の会社ですが辞任します。
新任の取締役は株主総会で選任し、その場で承諾します。
登記をお願いできますか?」

Aさんが株主総会終結時に辞任し、新任のBさんがその場で就任承諾するという流れでした。

 


■ 事例の概要

  • 株式会社(資本金100万円、設立からひと月)
  • 取締役はAさん1名(代表取締役)
  • 株主総会でBさんを新たに取締役として選任
  • Aさんは総会終結時に辞任
  • Bさんはその場で就任承諾

 

■ 着眼点(司法書士の視点)

  • ✅ 唯一の取締役が辞任 → 後任者の選任が必須
  • ✅ 辞任・選任・就任のタイミングを一致させることが重要
  • 取締役会非設置会社では、役員の就任登記に印鑑証明書が必要

よくある質問

「設立して1か月だけど、役員変更しても大丈夫ですか?」

→ はい、大丈夫です。

会社法上、設立後すぐであっても、取締役の辞任・選任は可能です。

たとえ設立から1週間や1か月であっても、正当な手続きが取られていれば、問題なく登記できます。

 

■ 手続きの流れ

  1. 株主総会を開催
     → Bさんを取締役として選任、同時に代表取締役に就任することになる
     → Aさんは「総会終結時に辞任」
  2. 必要書類の準備
     → 議事録・辞任届・就任承諾書・印鑑届出書などを作成
     → Bさんの印鑑証明書も取得
  3. 法務局に登記申請(2週間以内)

 

■ 必要書類

  • 株主総会議事録(辞任・選任まで記載)
  • 株主リスト
  • Aさんの辞任届(「総会終結時に辞任」の旨を明記)
  • Bさんの就任承諾書(総会の場で就任を承諾)
  • Bさんの印鑑証明書(発行後3か月以内)
  • 印鑑届出書(代表が交代する場合)
  • 登記申請書

 

■ 注意点

  • ⚠️ 取締役の印鑑証明書は、代表取締役でなくても必要なケースがある!
     → 取締役会非設置会社では印鑑証明書が必要
  • ⚠️ 日付の整合性を揃えること
     → 辞任・選任・就任のすべてを「同日付」に
  • ⚠️ 議事録に「辞任は終結時」「新任は即日承諾」の記載が必要

 

■ 登記の期限と費用

登記申請は辞任・就任の日から2週間以内に行う必要があります。

当事務所にご依頼いただいた場合の登記費用は、以下の通りです。

  • (1)登録免許税:1万円(資本金が1億円を超える場合は3万円)
  • (2)司法書士報酬:1.1万円(税込)
  • (3)実費:謄本代・送料等
     → 実費の内訳については、こちらをご参照ください

 

■ まとめ

  • ✅ 唯一の取締役が辞任するなら、新任を同時に選任することが必須
  • 辞任・選任・就任はすべて同日付で揃える
  • 取締役会を置いていない会社では印鑑証明書が必要
  • ✅ 登記は2週間以内に申請が必要
  • ✅ 登記費用は登録免許税+報酬+実費

 

  取締役の変更登記手続きについてはこちらもご参照ください

 取締役1名を追加する場合の登記手続きはこちら

 

会社の所在地が東京以外であっても、司法書士が法務局に現地の法務局に出向く必要はなく、オンライン申請で行うため全国対応可能です。

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