許認可が必要な事業の中には、最初から法人組織でなければスタートできないものもありますが、それ以外の事業であれば個人・法人のどちらでも選択できますので、迷われるのも無理はありません。
弊事務所に会社設立のご相談にいらした方のお話をお聞きしても、「まずは個人事業からスタートしたほうが、手続面でも費用面でもスムーズなのでは?」と感じるケースが少なくありません。
そこで今回は、手続き面や運営の身軽さという視点から、個人事業で始めるメリットについて解説します。
1 簡単に始められる(設立手続と初期費用)
法人にするには、定款の作成、株式会社の場合には公証人による定款認証、法務局への設立登記申請(商業登記法第17条、第47条等)など、複数の法的・行政的手続が必要になります。
現在では行政手続のオンライン化が進み、電子定款なども普及していますが、一定の手続きと時間が必要です。
また、資本金は1円から設定可能ですが、登録免許税(株式会社で最低15万円、合同会社で最低6万円)や公証役場の定款認証手数料(株式会社の場合)などの実費が発生します。
これに対して個人事業の場合は、税務署へ「個人事業の開業・廃業等届出書」(所得税法第229条)などの届出を提出するだけで手続きが完了します。
公証役場や法務局での手続きが不要なため、思い立ったらすぐにスタートできる身軽さがあります。
2 簡単に辞められる(休止・撤退のスムーズさ)
事業を進める中で方向転換や撤退を検討する場合も、手続き面では個人事業のほうが非常にシンプルです。
法人の場合、事業をやめるには会社法に基づく解散手続(会社法第471条等)や清算人の就任(会社法第478条等)、債権者催告の手続、そしてそれぞれの登記(商業登記法第71条等)が必要となり、時間と費用がかかります。
これに対して、個人事業は、法的な清算手続や閉鎖の登記の必要がありません。
税務署等へ廃業届を提出することで、いつでもスムーズに区切りをつけることができます。
まとめ:個人事業の強みは「身軽さ」
まとめると、個人事業の最大の特徴は「手続き面・費用面における身軽さ」にあります。
創業期においては、事業のアイディアを迅速に形にし、費用を最小限に抑えてスタートを切ることが重要な場面も多くあります。
その意味で、まずは個人事業としてスタートすることは非常に合理的な選択肢です。
一方で、事業の拡大、大手企業との取引(BtoB)条件、インボイス制度への対応、社会的信用の確保やco.jpドメインの取得などが必要になった段階で、法人(株式会社・合同会社)へ移行(法人成り)するというアプローチも一般的です。
どちらで始めるべきか迷われた際は、事業内容や取引条件に合わせて最適な形をご提案いたしますので、お気軽にご相談ください。
