[ テーマ: 役員変更手続き ]
2019年3月11日12:23:00
更新 2021年1月31日
取締役の任期は原則2年(定款で最長で10年と決めることができる)と理解されている方は多いようですが…それは正確ではありません。
定款の規定をよく見てください。
定款の、役員に関する事項を規定している中で、「取締役の任期」などというタイトルで規定されている箇所を確認していただくとわかりますが、「就任してからちょうど2年間で任期が満了する」という意味合いでは規定されていません。
正確には、
選任後2年内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会の終結の時 |
に任期が満了すると規定されていませんか。
つまり、2年内に終了する事業年度のうち、最終のものに関する定時株主総会がいつ開かれたかによって任期の満了日が変わるということです。
任期が2年の場合、最初の任期については、定時株主総会の開催日によって、1年ちょっとで任期が満了する場合もありますし、場合によっては2年間を超えることもあるのです。
ちなみに、会社法には、定時株主総会の開催時期について、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない」と規定されており、
多くの会社の定款には、「定時株主総会は、毎事業年度の終了後3か月以内に招集する」と規定されています。
具体的には、3月末決算の会社では、定時株主総会の開催は、4月から6月の間に開催することになります。
もし、定款にそのような規定がある株式会社が、事業年度終了後3か月以内に定時株主総会を開催しなかった場合はどうなるでしょうか。
その場合には、本来であれば定時株主総会の終結の時に任期満了となるはずだった取締役は、事業年度終了後3か月の期間の経過により任期満了とするというのが登記実務の取扱いになっています。
なお、そのようなケースでは、「重任」とはならず、3か月経過する時点で「退任」、その後に臨時株主総会等で選任された時点で「就任」と登記されます。
具体的には、3月末決算の会社の場合、6月末までに開催しなければならないため、6月30日に任期が満了することになります。
なお、この手続きは、任期満了後に同一人物が引き続き取締役など役員に就くときも変更登記が必要です。
(関連)
役員の任期~株式会社、有限会社、合同会社、一般社団法人の違い
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[ テーマ: 役員変更手続き ]
2019年3月8日08:10:00
昨年、株式会社の取締役の任期満了による変更登記のご依頼をいただき、準備をすすめ、今年の最初に申請した登記がその案件で、
内容は、役員の任期の存在は認識していたものの、メンバーに変更がなかったので「変更」登記は不要と思い、申請しなかった。
たまたま、顧問税理士がそれに気づいた、というケースで、申請すべき期間を●年ほど超過していたのですが、申請した登記は無事に完了。
それから2か月ほど経過して、その依頼人からメールが届きました。
裁判所から過料決定の通知がきました。
過料は●万円とのことで、後日納付書が送られてくるそうです。
良いことではありませんが、とりあえずは●万円で済んで一安心です
一応お知らせまで。
この過料決定の通知、登記が完了してしばらくして、忘れた頃にやってくるので、驚いてクレーム半分で電話をかけてくる方が多いのですが、今回はわざわざメールで金額まで教えていただきました。
ありがとうございます。
任期満了した時点で、すぐに役員変更登記をしていれば、登録免許税1万円(と司法書士報酬)で済んだのに…数年遅れると、1万円(と司法書士報酬)を払った上にさらに●万円…
知らないというのは恐ろしいことですね。
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[ テーマ: 定款記載例 ]
2019年3月6日10:59:00
たまたま、民泊(住宅宿泊)を行う会社の設立登記、すでにある会社が新規事業として民泊を始めるので定款(目的)を変更したいという依頼が続きました。
会社として民泊事業を行うのであれば、定款の事業目的にその旨を規定しなければなりませんが、その定め方をどうすればいいのか調べたところ…
まず、「民泊」とは、住宅(戸建住宅やマンションなどの共同住宅等)の全部又は一部を活用して、旅行者等に宿泊サービスを提供することを指し、
そして、民泊について規定した「住宅宿泊事業法」の第1条には、次のように定められています。
(目的)
第一条 この法律は、我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、住宅宿泊事業を営む者に係る届出制度並びに住宅宿泊管理業を営む者及び住宅宿泊仲介業を営む者に係る登録制度を設ける等の措置を講ずることにより、これらの事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的とする。
これを受けて、今回、ご依頼いただいた会社の定款の事業目的に定めるのは、
「住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業」
「住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊管理業」
「住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊仲介業」
または、(依頼人の好みですが)これらを1つにまとめて、
「住宅宿泊事業法に基づく住宅宿泊事業、住宅宿泊管理業及び住宅宿泊仲介業」
とすることにしました。
これから設立する会社の定款(原始定款)にはその旨を盛り込むだけで良いのですが、新規で始める会社(株式会社の場合)の定款に盛り込むためには、株主総会を開催して定款変更について特別決議が必要となります。
合同会社については、総社員の同意で定款変更を行います。
なお、司法書士がサポートできるのは、定款に盛り込むところまでで、民泊(住宅宿泊)事業に係る届出等の手続きは司法書士が代行することができません(専門家に代行を依頼する場合には行政書士に依頼することになります)。
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