[ テーマ: 役員変更手続き ]
2021年1月25日16:51:00
取締役が退任する場合には、
などいろいろあります。
ある取締役に辞めてもらいたいときには、その取締役が自らの意思で辞任届を出して辞任してくれればベストですが、なかなかそうもいかない場合があります。
その取締役が自ら退く意思がない場合、会社側としては解任(クビをきる)こともできますが―いろいろ問題もあります。
解任は正当な理由がなくても株主総会(*)を開催して解任を決議すれば簡単にできますが、正当な理由なく解任をされた取締役は、解任によって生じた損害の賠償を会社へ請求することができます。
* 「過半数の出席」「出席株主の過半数の賛成」があれば、株主総会の決議で取締役の解任が可能です。
その損害賠償額は、だいたい、解任された取締役が解任されてから任期満了までに受領できたはずの役員報酬額と言われています。
取締役の任期を10年にしている会社が、就任2年に正当な理由なく解任した場合には残り8年分の役員報酬額を請求されるリスクがあるということです。
また、解任の事実は登記されるため、たとえば取引先が登記簿謄本を取得した場合、解任の登記がされていることから、会社内で解任されるようなことが発生したことが明らかとなります。
そういったこともありますから、できるだけ解任は避けたほうがいいと言えるかもしれません。
もし、もうすぐ任期満了だというのであれば、任期が満了で退任した後、その取締役を再選させないという方法もあります。
任期までまだまだある場合で、辞任もしてくれず、解任も避けたいというのであれば、株主総会の特別決議で定款の規定を変更して、その取締役の任期を短縮することも考えられますが―
この方法をとれば、たしかに任期満了で退任させることは可能ですが、判例(東京地判平成27年6月29日)によると、解任時の損害賠償の規定を類推適用して定款変更決議をしたことによって生じた損害を請求できるため、リスクはあります。
以上のようなこともあるので、取締役の任期は慎重に考えなければなりません。
1人株主、1人取締役の場合には、任期を最長の10年として、複数の取締役を置く場合には任期を2年程度に設定しておいて何かがあれば任期満了で退任させるのがいいのかもしれません。
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[ テーマ: 本店移転登記 ]
2021年1月22日11:11:00
会社設立にあたり、「東京本店、大阪本店のように本店を複数登記することができますか?」というご質問をいただきました。
たとえば、株式会社日本経済新聞社には東京本社と大阪本社があるなどのように大企業で本社を東京と大阪などにわけている会社を見かけることがあります。
今回の依頼人もそのイメージで本店を複数置きたい(登記したい)と考えられたようです。
「本店は1か所、複数置くことはできません」ですが―
「本店」は、登記簿に登記されている所在地のことで会社の本籍地のようなものです。
日本国内であればどこに置いても問題はありませんが、株式会社・合同会社など全ての法人の本店は1社1か所しか登記することはできません。
実は、とても紛らわしいのですが、「本店」と「本社」は全く異なるものです。
「本社」は会社の事業を推進する上で、最も業務機能が集中する事業所のことを指しますが、会社法上にはない通称名のようなものです。
一般には、本社と本店の所在地が一致しているのですが、本店は社長の自宅、本社は別とする会社もあるように必ずしも一致させる必要はありませんし、本社であれば東京本社、大阪本社の「二本社制」などのように複数設置しても問題はありません。
なので、質問の回答としては、「登記する「本店」は1か所しか置けませんが、登記しない「本社」であればいくつ置いても良い」です。
ちなみに、会社設立後に新たに本社を置く場合には取締役会などで決定することになります。
* ちなみに、同一住所に複数の会社の本店を置くことは問題ありません。
株式会社日本経済新聞社
トヨタ自動車株式会社
日本ペイントホールディングス株式会社
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[ テーマ: 役員変更手続き ]
2021年1月21日17:16:00
社員1名の合同会社の社員が死亡されたという連絡がありました。
ちなみに社員は一般的にいう従業員と異なります。
この会社の定款には、
「社員が死亡した場合または合併により消滅した場合には、当該社員の相続人その他の一般承継人は、当該社員の持分を承継して社員となることができる。」
という規定があります。
今回は、社員が死亡した場合であり、相続人がその社員の持分を承継して社員となるかどうかを選択することができます。
会社、相続人からは、相続人複数いるうち1名のみが承継したいという意向だと聞きかされていました。
定款の規定は、「社員となる=相続人全員が社員」ではなく、「社員となることができる=社員になりたい相続人のみ」としていることから、いきなりその1名のみを登記すればいいと考え、書類を用意していたのですが…
登記の先例を調べてみると―
「有限責任社員の死亡と相続人数人中の1人のみによる入社登記申請の受否 《合名会社及び合資会社の変更登記の申請》
合資会社の有限責任社員が死去した場合において、共同相続人中の1人が社員となることの遺産分割の協議が成立したとき、その者のみの入社の登記は受理することができない。 (昭38.5.10、民事甲第1357号民事局長回答)」
という合資会社の先例が見つかりました。
不安になり、管轄法務局に照会をしたところ、法務局からは、定款にそのような規定があったとしても、いったん相続人全員が社員となり、その後に社員になりたくない人は退社するようにすべきだという回答。
ということで、相続人を特定するために不動産の相続登記と同様に戸籍謄本を全部とるなどして相続人を特定し、相続人の間で同意書を作成して、相続人の1名を業務執行社員兼代表社員として登記を申請しました。
さきほど、その登記が完了し、ホッとしています。
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