[ テーマ: 役員変更手続き ]
2021年2月5日16:29:00
更新 2021年2月5日
作成 2015年12月16日
株式会社の取締役の辞任、就任の登記のご依頼をいただきました。
役員変更登記に必要な書類を作成するにあたり、登記簿謄本(履歴事項全部証明書)、定款などをお送りいただき、さらに今回の変更に関する情報(株主総会の日時、辞任の日、就任の日、就任する方の住所、氏名など…)をいただき、拝見したところ…
定款に規定されている取締役の任期は2年、対象の取締役は平成30年に就任しており、すでに任期が満了していました。
任期が満了している取締役は、満了後に辞任することはできません(任期満了の時点に遡って退任することになります)。
(利用しないうちに有効期間が過ぎていました)
慌てて、依頼人に事情を説明したところ…
数年前に、臨時株主総会で取締役の任期を5年に変更したが、定款には反映していないとのこと。
定款の規定は変更していないが、当時の臨時株主総会議事録があるということで一件落着、当初の辞任の日をもってその取締役は辞任することになりました。
株主総会で定款の規定を変更した場合には、手元にある定款自体も変更することをおすすめします。
なお、その変更した定款は、設立当時のように公証役場で再認証を受ける必要もありませんし、法務局に提出する必要もありません。
前述のように任期満了前に辞任するのであれば、問題なく、辞めたい日に辞任することができるのですが、もし、2年のままだったら…
就任から2年後の令和2年に開催された定時株主総会で任期が満了しています。
「令和3年に辞任したい」というのであれば、
令和2年の定時株主総会で重任の決議を経て、任期中の令和3年の辞任という扱いとなり、
もし、定時株主総会を開催していなければ、今から臨時株主総会を開催して、改めて取締役を選任することになります。
その際、辞任しない取締役を選任し、辞任したい取締役を選任しなければよいという話になりますが、その場合には令和3年の辞任ではなく、令和2年の定時株主総会を開催すべきであった日付で任期満了退任となる点に注意しなければなりません。
ご相談、ご質問については、下記にお電話、またはメールによるお問合わせをご利用ください。
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
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[ テーマ: 役員変更手続き ]
2021年1月25日16:51:00
取締役が退任する場合には、
などいろいろあります。
ある取締役に辞めてもらいたいときには、その取締役が自らの意思で辞任届を出して辞任してくれればベストですが、なかなかそうもいかない場合があります。
その取締役が自ら退く意思がない場合、会社側としては解任(クビをきる)こともできますが―いろいろ問題もあります。
解任は正当な理由がなくても株主総会(*)を開催して解任を決議すれば簡単にできますが、正当な理由なく解任をされた取締役は、解任によって生じた損害の賠償を会社へ請求することができます。
* 「過半数の出席」「出席株主の過半数の賛成」があれば、株主総会の決議で取締役の解任が可能です。
その損害賠償額は、だいたい、解任された取締役が解任されてから任期満了までに受領できたはずの役員報酬額と言われています。
取締役の任期を10年にしている会社が、就任2年に正当な理由なく解任した場合には残り8年分の役員報酬額を請求されるリスクがあるということです。
また、解任の事実は登記されるため、たとえば取引先が登記簿謄本を取得した場合、解任の登記がされていることから、会社内で解任されるようなことが発生したことが明らかとなります。
そういったこともありますから、できるだけ解任は避けたほうがいいと言えるかもしれません。
もし、もうすぐ任期満了だというのであれば、任期が満了で退任した後、その取締役を再選させないという方法もあります。
任期までまだまだある場合で、辞任もしてくれず、解任も避けたいというのであれば、株主総会の特別決議で定款の規定を変更して、その取締役の任期を短縮することも考えられますが―
この方法をとれば、たしかに任期満了で退任させることは可能ですが、判例(東京地判平成27年6月29日)によると、解任時の損害賠償の規定を類推適用して定款変更決議をしたことによって生じた損害を請求できるため、リスクはあります。
以上のようなこともあるので、取締役の任期は慎重に考えなければなりません。
1人株主、1人取締役の場合には、任期を最長の10年として、複数の取締役を置く場合には任期を2年程度に設定しておいて何かがあれば任期満了で退任させるのがいいのかもしれません。
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[ テーマ: 本店移転登記 ]
2021年1月22日11:11:00
会社設立にあたり、「東京本店、大阪本店のように本店を複数登記することができますか?」というご質問をいただきました。
たとえば、株式会社日本経済新聞社には東京本社と大阪本社があるなどのように大企業で本社を東京と大阪などにわけている会社を見かけることがあります。
今回の依頼人もそのイメージで本店を複数置きたい(登記したい)と考えられたようです。
「本店は1か所、複数置くことはできません」ですが―
「本店」は、登記簿に登記されている所在地のことで会社の本籍地のようなものです。
日本国内であればどこに置いても問題はありませんが、株式会社・合同会社など全ての法人の本店は1社1か所しか登記することはできません。
実は、とても紛らわしいのですが、「本店」と「本社」は全く異なるものです。
「本社」は会社の事業を推進する上で、最も業務機能が集中する事業所のことを指しますが、会社法上にはない通称名のようなものです。
一般には、本社と本店の所在地が一致しているのですが、本店は社長の自宅、本社は別とする会社もあるように必ずしも一致させる必要はありませんし、本社であれば東京本社、大阪本社の「二本社制」などのように複数設置しても問題はありません。
なので、質問の回答としては、「登記する「本店」は1か所しか置けませんが、登記しない「本社」であればいくつ置いても良い」です。
ちなみに、会社設立後に新たに本社を置く場合には取締役会などで決定することになります。
* ちなみに、同一住所に複数の会社の本店を置くことは問題ありません。
株式会社日本経済新聞社
トヨタ自動車株式会社
日本ペイントホールディングス株式会社
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