[ テーマ: 登記全般 ]
2019年9月24日14:04:00
登記手続きの相談を受ける際、何気ないひと言に、頭の中で警報が鳴り響くときがあります。
この人物は危険人物だ! 要注意人物だ! という警報が鳴り響く、最も多い「ひと言」が、「変な話…」から始まる質問です。
多くの場合、「変な話、資本金は・・・」等、お金にまつわる話が多い印象を受けます。
なので、そういう話が出た時点、質問が終わる前に、食い気味で、「変な話はマズイと思います」と、悪い冗談を言わないでください的に返すようにしています。
また、そういう質問には、「○○は△△です」と教科書に書いてあるような、常識的なひと言を付け加えることもあります。
そういうひと言を使う人の多くが、後にトラブルに巻き込まれた場合に、「司法書士に確認したら、問題ないと言われた」などと言い出すに決まっているから始末が悪い。
都合が悪くなると、言った、言わないという問題に発展させられる恐れもあり、ホントに要注意です。
この人物は話が長いし、整理ができていなさそうだ、という警報が鳴り響く時もあります。
そういう人が好んで発する言葉は、「要するに」。
「要するに」は、これまでの話をまとめる時に使用する言葉ですが、個人的な経験で言わせていただくと、「要するに…」を多用する人のほとんどの話は全くまとまっていません。
本人はそれに気づいているのか、気づいていないのか、「要するに…」「要するに…」の連続技を繰り出します。
おそらく、小さい頃から、話がまとまっていないことを指摘され、会話の相手から「要するに何なんだ!」と言われ、「要するに…」を多用するようになったのではないかと推測します。
時々、依頼者の会社が遠方にある場合に弊所との中間地点にある喫茶店だったり、会社勤めの依頼人の勤務先付近の喫茶店で打ち合わせをすることがありますが、その際、待たされるぞ、と警報が鳴る時があります。
それは、何気なく使っているのか、意識して使っているのかわかりませんが、待ち合わせ時間に「頃」がついた時。
たとえば、待ち合わせ時間を「15時」ではなく、「15時頃」と指定される。
「頃」という言葉の範囲は、私の場合、プラスマイナス5分だと思っているのですが、人によって異なるからやっかいです。
「頃」を使う人の多くは、15時ちょうどに現われることは少なく、15時に連絡が来ることもなく、10分程度遅れて現われたりします。
私の場合は、基本30分以上前には待ち合わせ場所付近で時間調整していることが多いのですが、15時前に現われる人は、まあ、いない。
中には、待ち合わせ場所を「駅の改札前」と指定される場合もあり、駅の改札前で10分も待たされる(相手にとっては10分も「頃」の範疇ですから待たせているという意識はないのかもしれませんけど)と精神的にかなりキツイ。
最近はそういう場合に備えて、無理やりにでもお店を探して指定し、約束時間よりも前に店内で過ごすようにしています。
司法書士に依頼しておきながら、司法書士報酬を1円でも安くしようと考えている方に時々遭遇します。
この人からは依頼を受けないほうがいい、と警報が鳴り響くことがあります。
過去に何度かあったのは、「○○事務所では、××円だった。同じ金額でやって欲しい」と言い出す人。
ホントかウソかわかりませんが、他の事務所に合わせる必要がないので、そういう場合には、「それでは、○○事務所に依頼してください」と答えています。
逆に、他の事務所の司法書士報酬を、うちに合わせて上げるようアドバイスする人は…皆無でしょうね。
また、中には、「次回の登記もお願いするので司法書士報酬を安くして欲しい」「別の会社も登記するので安くして欲しい」「紹介するので安くして欲しい」…
開業した手の頃はそういうのに騙されたことがあったかもしれませんが、最近では、「それなら次回、検討します」と答えるようにしています。
実際のところ、そういう人ばかり、記憶に残っていて、金払いもよく、手続きがホイホイと進んでスムーズに完了してしまった、「いいお客様」の記憶が残っていないことが多く…。
そういうのは、申し訳ないな、と思ったりします。
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[ テーマ: 役員変更手続き ]
2019年9月19日10:17:00
半年ほど前に取締役Aが辞任し、後任者としてBが就任した株式会社から、定款の変更登記を行いたい旨のご相談をいただきました。
その会社は、もともとは、Aが1人で出資をして設立し、Aが取締役になっていた会社でした。
定款変更をするには、株主総会を開催して決議し、その記録(株主総会議事録)を作成して(登記申請書その他の書類とともに)法務局に提出します。
また、株主総会議事録には、「株主リスト」といって株主の住所、氏名、持株数等を記載したものも添付することになっています。
平成28年10月1日より、株式会社の登記申請には株主リストが必要になることも
株主総会議事録や株主リストを作成するため、ご相談いただいた会社から、必要な情報をいただく際、一つ問題が発生しました。
株主が誰かという問題なのですが…
株主の住所、氏名、持株数について問い合わせたところ、半年ほど前に取締役Aが辞任したので、現在は取締役Bが株主だとのことでした。
もしかして、「株主=取締役」と勘違いしているのでは?と心配になり、念のため、
「Aが取締役を辞任する際、同時に所有していた株式はどうされたのですか?売却されたのでしょうか、それとも無償で譲渡されたのでしょうか?」
と尋ねてみました。
すると、「とくにそのような手続きはしていない、取締役Aは辞任したから、現在の株主はBだ」という回答で…あ、やっぱり、と。
取締役を辞任すると、自動的に株主ではなくなるとお考えの方が多いようですが、株式会社は、株主と取締役は全く別のものです。
今回のケースでは、Aが出資して(株主)、さらに取締役になっていたので、たまたま株主と取締役が一致していただけであって、常に株主と取締役が一致しているとは限らないのです。
Xが出資して、Yが取締役になるケースだって考えられます。
「株式会社は所有(株主)と経営(役員)が分離している」とよく言われますが、それはそういう意味で、出資と経営が一致している合同会社とは異なる点でもあります。
ということで、今回の定款変更をするための株主総会を開催する前に、株式をBへ譲渡することになり、AとBとの間で株式譲渡契約書を取り交わし…手続きをすすめることになりました。
(注 : 定款変更を決定するのは株主であって、取締役ではありません)
なお、株式の譲渡方法については定款に次のように規定されていますし、登記もされています。
「当会社の株式を譲渡により取得するには、●●(会社により異なります)の承認を受けなければならない」
一部上場企業などをイメージしてもらえるとわかりやすいと思うのですが、1人株主1人役員の個人経営に近い株式会社の場合はわかりにくいかもしれませんね。
電話によるご相談・お問い合わせ・お見積の依頼(無料)は、
03‐5876‐8291 または、
司法書士西尾へ直通 090-3956-5816(ソフトバンク)までお気軽に。
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[ テーマ: 相続登記手続き ]
2019年9月18日16:48:00
10年以上前に不動産の相続登記手続きのご依頼をいただいたお客さまから、こんな問い合わせをいただきました。
「10年以上前に相続で不動産の名義を私に変えたのですが、実印が欠けてしまった。
新しく実印の変更を考えているのですが、登記した不動産に影響がないでしょうか?」
…ん?? どういうこと??
一瞬、何を相談されているのか、把握できませんでした。
よ~くお話を聞いてみると、「相続登記の際に使用した印鑑を後に変更しても、所有権に影響がないか」
ということのようです。
相続登記の手続きを考えてみると―
不動産の所有者に相続が発生する(=所有者が亡くなる)と、その所有権は相続人に承継されるのですが、相続人が複数いて、そのうちの一部の名義にする場合には、遺産分割協議を行って決めることになり…
協議が成立すれば、それを遺産分割協議書にして、相続人全員の署名(又は記名)の上、実印を押捺し、法務局に提出して、不動産の名義を変更(=相続登記)する流れになっています。
遺産分割協議書に押捺した実印が欠けたので変更した場合、当時作成した遺産分割協議書に押した印鑑も変えなければならないのでは?と心配になるのもわかります。
関係のある事項を1つ1つ考えてみると―
遺産分割協議は成立しており、協議書も作成済み。
(1)当時の遺産分割協議書に対して
当時、実印を押して、その印鑑が実印だという証明のため、印鑑証明書をつけていましたが、その時点で協議は成立してしているため、後から実印を変更したとしても協議書に新しい実印を押しなおして修正する必要はありません。
(2)現在の所有権に対して
また、登記名義人となった後に、申請時の印鑑を変えたとしても、もともと所有者名義の登記と印鑑は結びついていませんから、その後に実印を変更したとしても法務局に変更した旨を届け出る必要もありません(何もする必要はありません)。
(3)将来発生するご自身の相続登記に対して
その後に印鑑を変更された現所有者がお亡くなりになった場合に行う相続登記手続きでは、そもそもお亡くなりになった所有者の実印を使用する場面はありません。
(4)不動産を売却する場合
将来的に不動産を売却される場合、所有者の実印、印鑑証明書は必要になりますが、それは、その売買による所有権移転登記を申請する時点の実印であり、過去の印鑑の登録状況を遡って確認することはありません。
変えたら変えた時の実印を使うまでです。
時々、とんでもない方向からご質問を受けることがありますが、その都度、考えさせられますし、とても勉強になります。
ありがとうございました。
また、10年ぶりに思い出してお問い合わせいただき、ありがとうございました。
ちなみに…
もし、(不動産とは無関係な話です)会社を設立した後に、法人の実印(=代表印、法人印、法務局届出印)が欠けて変更したいという場合はどうすればいいか、ということですが、
法人の実印を変更する場合には、管轄法務局に印鑑の変更(改印)手続きを行います。
届出先は法務局、市区町村役場ではありません。
その際には、代表取締役の個人の印鑑証明書の添付が必要になりますのでご注意を。
もちろん、その印鑑証明書の印鑑は、代表取締役になった際に法務局に提出した印鑑証明書の実印である必要はなく…これでは、かえって混乱しますね(笑)
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