[ テーマ: 商業登記 ]
2007年3月2日12:13:00
知り合いの中小企業診断士さんからお客さまをご紹介をいただきました。
確認有限会社の「解散の事由の定めの廃止」の登記手続きのご依頼です。
会社法が施行されるちょっと前に設立した会社の中には、経済産業大臣から確認を受けて、最低資本金(当時、有限会社300万円でした)規制の適用を受けない会社として、資本金300万円未満で設立した会社がありました。
300万円未満…資本金1円でも設立できるため、1円の会社が多く設立され、1円会社などと呼んでいたりします。
確認有限会社と呼ばれている種類の会社です。
その確認会社の定款には、
「資本の総額を300万円以上とする変更の登記若しくは株式会社、合名会社若しくは合資会社に組織を変更した場合にすべき登記をしないで設立の日から5年を経過したとき又は中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の確認を取り消されたときに解散する」
という規定が定めなければならないとされていました。
そして、この定款の規定は登記されています。
会社法が施行され、300万円の最低資本金制度は廃止されましたが、だからといって自動的にその規定が消滅することはありません。
定款に定めたこの規定は廃止をしない限り、ずっと残ります。
そのため、定款を変更してその定めを廃止して、廃止の登記も申請しないと面倒なこと(会社が解散)になってしまいます。
ということで、お客さまとお会いし、以上のことをご説明し、変更する定款のコピーをいただきました。
(なお、このことは、有限会社だけではなく、確認株式会社にもあてはまります。)
ご心配な方は、 ホームページ相談窓口 からご相談ください
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[ テーマ: 起業支援 ]
2007年3月5日18:54:00
起業・創業される方が、まず最初に悩むことは、個人事業で始めるか、法人(会社組織)で始めるかということのようです。
許可・免許制の事業の中には、最初から法人で始めなければならないものもありますが、それ以外のケースですと、個人・法人、どちらでもできますので悩みます。
会社を設立したい、というご相談にいらした方の話を聞くと、「まだ法人にしなくてもいいんじゃないの?」と言いたくなるケースが少なくありません。
ということで、個人事業で始めるメリットについて考えてみます。
1 簡単に始められる
法人にするには、定款を作って、登記して…と何かと面倒な手続きが必要になります。
資本金も準備しなければなりませんし(1円でも可)、公証役場での定款認証や登記申請時の登録免許税なども決して安い金額ではありません。
これに対して、個人事業の場合には、税務署に届出をするだけで始めようと思ったらすぐに始めることができます。
2 簡単に辞められる
法人の場合には、辞めたいと思っても出資者の利害がからみますから、そう簡単には辞められません。また、辞めるにも清算手続き、その登記手続をしなければなりません。
対する個人事業は、清算、登記手続きもありませんから、いつでも辞めることができます。
まとめると・・・個人事業は身軽だということです。
合わせてこちらもご参照ください。
法人化のメリット・デメリット 比較表、ドメインになどについて
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[ テーマ: 起業支援 ]
2007年3月6日13:49:00
前回は、個人事業のメリットとして簡単に始められる・簡単に辞められるということについて触れました。
それ以外にも、税法上のメリットがあります。(注 : 2007年時点の情報です)
(1)会計処理が簡単
青色申告の場合でも、正規の簿記による記帳が義務付けられている法人に対して、個人事業は、簡易記帳を選ぶことができ、比較的簡単です。
(2)青色申告特別控除が受けられる
所得から最高65万円又は10万円を控除されます。
課税の対象が減るということです。
(3)青色事業専従者給与の適用がある
事業専従者給与を支払う場合には、給与全額を必要経費に算入することができます(白色申告の場合は先住者1人につき50万円(配偶者のときは86万円)です)。
●詳しくは…国税庁のタックスアンサー「青色申告制度」」をご覧ください。
■ 青色申告とか白色申告とは何のことかご存知ですか?
法律によって定められた帳簿を使って、毎日の取引を正確に記録し、それに基づいて、一般の記帳より水準の高い記帳をし、その帳簿に基づいて正しい申告をする人には、税金面でいろいろな特典が与えられることになっています。
これを選択する人には青色の申告用紙(青色申告書)で確定申告をします。
他方、法律によって定められた帳簿を使わないで、簡単な帳簿で済ませている人には、白色の申告用紙(白色申告書)で申告することになります。
つまり、青色申告とか白色申告とは申告書の色のことを指しているのです。
白、青、どちらが良いかといえば、やはりメリットの多い青色申告をすることをおすすめします。
青色申告を希望される方は、青色申告承認申請書を納税地の所轄税務署に提出する必要があります。
開業の日が1月15日以前の場合は3月15日まで、それ以降開業の場合には、開業の日から2か月以内に提出する必要がありますのでご注意ください。
(注 : 2007年時点の情報です)
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[ テーマ: 起業支援 ]
2007年3月7日10:49:00
前回、前々回と個人事業で始める場合のメリットについてご紹介しました。
今回は、デメリットについて。
個人事業で始める場合には、こんなことがデメリットとして挙げることができます。
(1)信用面が法人よりも劣る
一般的に信用面は法人に比べると不利です。
ただし、お客さまは個人の能力を評価して取引をするわけですから、事業主の能力が高ければ問題はありません。
(2)無限に責任を負う
個人事業の場合には、すべての責任は事業者自身が負うことになります。
法人の場合には、出資の範囲内など有限責任であることと比較すればデメリットです。
ただし、法人であっても小規模会社の場合には、借り入れに対して事業主が連帯保証しますので、結果的に無限責任を負うことになります(借り入れの際、他人に頭を下げて連帯保証人になってもらう必要がないという点ではメリットになるとも考えられますが)。
実際には、個人事業も法人も何ら変わりがないことになります。
(3)税制面のデメリット
①所得税が超累進課税
個人事業の場合は、所得が多くなるにしたがって税率もアップします。
法人の場合は、原則として一定の税率で、一定のの利益を留保することができます。
②事業主は給料がない
個人事業の場合は、売上などの収益から経費を差し引いた残りが事業主の収入となり、給料をもらうことができません。
法人の場合は、社長であっても会社から給料をもらっています。
給与所得ですから、給与所得控除があります。
どちらも同じだけの収入がある場合には、給与所得控除分、法人のほうが有利です。
●給与所得控除・・・国税庁のタックスアンサー「サラリーマンの必要経費の概算計算(給与所得控除)」
③社会保険に入ることができない
個人事業の事業主は、社会保険の適用除外者となっています。
社会保険の加入は従業員が対象で、事業主及び家族従業員は、国民健康保険・国民年金に加入することになります。
これまで3回にわたって、個人事業の事業主は、社会保険の適用除外者となっています。個人事業のメリット・デメリットを見てきました。
ビジネスを始めるからといって、すぐに会社をつくる必要はありません。
軌道にのり、収益が増えてから会社にしたって遅くはないのです。
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[ テーマ: 株式会社設立手続き ]
2007年3月8日22:37:00
会社設立のサポートをさせていただいる中で、よく聞かれるのが、 「会社をつくるのに、いくらかかるの?」 ということです。
会社法が施行されて、資本金が1円でも設立できるという話は、少なくとも1度は耳にしたことがあるはず。
だからといって、1円で会社がつくれるわけではないのです。
実際にかかる費用を聞いて驚いてあきらめる方も少なくありません。
実際にいくらかかるのかご説明しますと…(株式会社の場合)。
1.資本金・・・(あまりおススメしませんが)1円でも大丈夫(なお、業種によって最低額が決められているものもあります)
2.定款の認証・・・
(1)認証手数料 5万円
(2)収入印紙代 4万円・・・ 電子定款にすると4万円はかかりません(「電子」であって、「紙」ではないからです)。
3.定款の謄本手数料(一般に定款の謄本(コピー)をとります)
1枚250円 × 定款の枚数(表紙を除くページ数)
4.登録免許税(印紙代)
資本金の0.7%(1000分の7) (15万円未満のときは15万円)
5.登記事項証明書(いわゆる登記簿謄本)
1通600円(2013年4月現在)
6.印鑑証明書 1通450円(2013年4月現在)
7.司法書士報酬(西尾努司法書士事務所の場合)
完全にお任せいただく場合、会社の印鑑3本セット込みで、8万6000円(税別)いただいております。
8.その他、送料、登記簿謄本代などの実費をいただきます。
実費の内訳
● ご自分で全てなさる場合には、資本金1円の場合でも、
1円+5万円+4万円+1,250円(定款が5枚で1通)+15万円+600円(謄本1通)+450円(印鑑証明書1通)=24万2301円
最低でも、これくらいはかかります。実際には、これに法人の印鑑(1万円程度)も注文される方も多いでしょうから、印鑑代が上乗せになります。
合同会社の場合には、株式会社の3分の1程度で設立することができます
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[ テーマ: 本・映画の中の会社設立 ]
2007年3月9日19:06:00
元ライブドアのホリエモンが書いた本「堀江貴文のカンタン!儲かる会社のつくり方」を読んだところ、これからビジネスを始める方に役立つ情報がいろいろと紹介されていました。
今では、古本屋でしか入手できないかもしれませんが読んでおいて損はないと思います。
人物については触れないことにして、彼のビジネスの選び方について見てみると―
飲食店
→ 店舗、内装、什器などかなりの初期コストが必要
→ 元手がかかる
→ 損益分岐点が高くなりリスクが大きい、うまくいったときも実入りが少ない
→ 難しい
∴ 始めるのならコストのあまりかからない、元手の少ないビジネス
たとえば・・・
(1)出版社 … 作家、デザイナー、イラストレーター、印刷所はアウトソースでき、初期コストもほとんど必要としない。
編集者1人いれば出版社はつくれる。
(2)学生アルバイトの人材あっせん業 … 元手も設備投資もほとんどいらない。
(3)マッサージ業 … 出張マサージなら、治療を施す場所さえいらないし、資格と電話と体1つあれば、どこででも始められる。
(4)コンサルタント業、英会話教室 … 出張して生徒の家で教室を開いたり、駅前の喫茶店でもできる。
(5)インターネットオークション … 元手がいらない。
(6)健康食品 … メーカーが作った製品を、すばらしいネーミングで販売すればいい 。
彼は、「元手がいらないビジネスであれば、仮に失敗したときでも痛手は小さい」と考えていたそうです。
私もその考えに共感します。
司法書士として創業支援をさせていただいている中で、この辺の考え方が甘い人が多いように感じます。
どうしてもやりたい仕事があるのならともかく、何かビジネスを始めたいと考えている方は、最初はできるだけコストを抑えてリスクを最小限にして始めましょう。
最初から立派な事務所を借りて、最新のOA機器、家具を入れる必要はありません。
最初は中古で十分です(実際、ホリエモンも中古でスタートしたらしいです)。
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[ テーマ: 起業支援 ]
2007年3月10日10:47:00
私の失敗談です。
弊事務所の司法書士報酬は、初めてのお客様の場合には、申請直前に登録免許税等の費用とともに預かります。
登記を申請し、その手続きが完了した後、精算しています。
先日、いつもご依頼をいただいている依頼人(会社)に、手続完了後に請求書をお送りしました。
しばらくして、入金がないことに気がつきました。
報酬額については、事前にご連絡していましたし、何か問題があったのだろうかと心配になって連絡をとったところ、
「会社の支払が月末締めの翌20日支払なので・・・」
という回答でした。
そうとも知らず、私は・・・。
会社員だった頃を思い出してみると、「○日締めの○日払い」は当たり前のことでした。
この失敗から、
起業される時点で、かりに仕事の依頼がたくさんあったとしても、その報酬はすぐには支払われないこともある、ということを学びました。
報酬や代金が、2か月後に振り込まれるなんて珍しい話ではありません。
2か月では短いという業界もあるかもしれません。
その辺を理解しておかないと、仕事はあっても資金が底をつき、あっという間に黒字倒産です。
出ていくのお金の流れはもちろんのこと、入ってくるお金の流れもしっかり把握しておきましょう。
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[ テーマ: 商業登記 ]
2007年3月14日14:17:00
会社法が施行される前は、破産の宣告を受けて復権していない者は、取締役の欠格事由(取締役にはなれない)とされていました。
会社法では、破産の宣告を受けて復権していない者も、取締役に就任することが可能になりました(会社法331条)。
現在、取締役に就任している方が自己破産した場合は、会社と取締役との委任関係が破産によって終了するため、当該取締役はいったん退任することになります。
ただし、退任後に株主総会を開催して、再度取締役に選任され就任することができます。
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[ テーマ: 商業登記 ]
2007年3月16日17:25:00
ここのとこと、なぜか、「本店移転」登記のご依頼が3件続いています。
新年度は新しいオフィスで、ということなのでしょうか。
ところで、本店を移転する場合には、移転後に本店の所在地において2週間以内に登記をしなければなりません(支店では3週間以内)。
本店所在地は定款に規定されており、定款の記載が変わる場合には、定款変更(株主総会決議)が必要となりますのでご注意ください。
ちなみに、定款にどのように書かれているかによって本店移転の手続は、3種類に分けられます。
(1)同一の法務局の管轄内で移転し、定款の変更が必要なケース
(例)定款に「本店を中野区東中野一丁目2番3号に置く」と定めてあり、本店を中野区中野三丁目2番1号に移す場合
(2)同一の法務局の管轄内で移転し、定款の変更が不要なケース
(例)定款に「本店を中野区に置く」と定めてあり、本店を中野区東中野一丁目2番3号から、中野区中野三丁目2番1号に移す場合
→ (注)定款に変更は生じていません。
(3)別の法務局の管轄内に移転するケース
(例)本店を中野区から新宿区に移す場合((3)のケースは必ず定款変更が生じます)
定款変更が必要な(1)と(3)は株主総会の特別決議、(2)のように定款変更が不要であれば取締役の過半数の一致(取締役会を置いている場合には、取締役会の決議)が必要となります。
登記にかかる費用は、
登録免許税 ・・・ (1)(2)のケースですと、3万円、(3)のケースですと、新旧の法務局に対する申請が必要となりますので、3万円×2の6万円かかります。
謄本 ・・・ 1通600円
印鑑証明書 ・・・ 1通450円
司法書士報酬 ・・・ 弊事務所の場合、(1)(2)のケースが、2万円、(3)のケースが3万円(いずれも税別)
なお、本店を移転する場合には、登記手続きの他にも名刺、会社案内、本店のゴム印なども変更する必要があります。
弊事務所では、そういった変更手続もお手伝いさせていただいております。
お気軽にご相談ください。
会社設立時の本店の決め方については、こちらもご覧ください。
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[ テーマ: 株式会社 定款変更 ]
2007年3月17日14:17:00
株式会社を設立する場合、まず定款を作成しますが、その際、(小規模な会社であれば、)株式譲渡制限会社にすることをおすすめしています。
1 取締役会を置かなくてもいい
…取締役会を置く会社ですと取締役を最低でも3名(、監査役を1名)選任する必要がありますが、株式譲渡制限会社にすれば、取締役会を置かなくてもよくなります。
つまり、取締役は1名でも株式会社をつくることができるということです。
2 取締役の任期を最長10年まで延ばすことができる
…ちなみに、取締役の任期は原則2年です。
株式譲渡制限会社にすれば、任期を最長10年に延ばすことができます。
ただし、10年にした場合、10年経過する前に解任した(=クビにした)場合には、その取締役から10年までの残りの期間の報酬分の損害賠償請求を受ける可能性がありますので、注意が必要です。
本来、株式の譲渡は自由なのですが、それによって会社にとって不利益な人が新たな株主になることも考えられます。
そこで、「株式の譲渡については株主総会の承認が必要」という株式の譲渡制限規定を設けることによって、会社にとって不利益な人が株主にならないよう防ぐことができます。
なお、全部の株式についてこのような制限を設けている会社を「株式譲渡制限会社」といいますが、一部だけの制限の場合には株式譲渡制限会社とはいいません(公開会社になります)のでご注意を。
なお、この規定は定款に記載、登記もする必要があります。
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